目標
このまえ
「あえてナンセンスを狙っているものを自分で解説する姿がおかしいよね」
と友人に言われました。解説したい…。その友人とはナンセンスについて長時間語り合ったのですが、局所的に秩序が崩壊していたかも知れません。
目標としては、このペースでナンセンス物語を300作くらい書いて、よく分からない空間を作り上げてみたらいいなと思っています。
このまえ
「あえてナンセンスを狙っているものを自分で解説する姿がおかしいよね」
と友人に言われました。解説したい…。その友人とはナンセンスについて長時間語り合ったのですが、局所的に秩序が崩壊していたかも知れません。
目標としては、このペースでナンセンス物語を300作くらい書いて、よく分からない空間を作り上げてみたらいいなと思っています。
可能な限り、お家騒動に巻き込まれてみたかったのだろう。散々散財したあげく僕の貯金箱はから。明日には、小遣いが入るらしい。それまでは、干し草でも茹でているしかない。
「僕は宇宙飛行士に憧れていた時期がある」
「なんでもいいけどさ、その干し草本当に食うの?」
「宇宙でどんな目に遭っても良いように、胃袋だけは鍛え上げてきたんだ」
「そうけ」
お家騒動と言っても大したことじゃない、お父さんとお母さんが喧嘩しただけだった。そこでお父さん側についてしまったのが運の尽き。お父さんは何故か家を追い出され、何を血迷ったか小旅行を計画。持ちあわせが少なかったため途中で電車賃が尽き、僕の貯金箱も用に供された。その後、飲み食いして、家の近所の公園に戻ってきて僕等は野宿を決行。次の日、偶々友人が通りがかって、「何してんの?」と訊かれた次第。
「ねえ、思うんだけど」
「なんだい?」
「一日くらいなら無理に変なもの食べないで我慢すればいいんじゃない?」
「…何となく食べなきゃいけないような気がして」
「お金なら貸すけど」
「いや、そんな厚意に甘えるわけにはいかない」
「そうけ」
友人が立ち去ろうとする。僕は慌てて大きな独り言を言う。
「ああ!!ここにもし何か食べ物があったら、こんな干し草なんて食べなくていいのに!!」
友人は立ち止まってバックの中から何かを取り出す。
「パン食う?アンパンだけど」
「ありがたく頂戴します」
例えば、
尾ひれどころか背びれまでおまけについている、うわさ話を頼りに擦過傷を気にしながら辿り着いた山小屋には、謎のメッセージが残されていた。
「ここほれワンワン」
ここと言っても、そこ壁なんですけど、と思いつつも口には出さないで黙々と壁を掘っていたら、またしても謎のメッセージが。
「っていうか、公共の施設なのに勝手にほるなよ」
確かに。でもこのメッセージを隠している時点で同罪ですよね、あなたも。冷静になってくると擦過傷が気になりだした。
「という夢を見たのだとしたら、どういう意味があるんですか?占い師さん」
「そういう夢みたの?」
「いえ、そうではなく、例えばこういう夢を見たとしたらどういう意味になるんですか?」
「…なんでそういう事聞くの?」
「聞きたいからです」
「良い辞典あるから、自分で買って調べたら?」
「そうなりますか。わかりました」
「ちょっと待って」
「はい?」
「あなた昨日本当はどんな夢を見たの?」
「え?普通に、今のやりとりをしている夢ですけど」
最近、多くの人がちょっとした物事に過敏になり過ぎているような気がする。ほんの少しでも「はみ出さないようにはみ出さないように」と気を付けていて、私は何となく居心地が悪い。
もっとも、居心地が悪い理由はそれだけではなく、部屋がこれでもかというくらいに汚れきっているからでもあるのだが。
気分転換も兼ねて今日は家の掃除をしている。
…だけど今日も悩まされている。鼻炎に。埃と戦い続けている。そう私は比較的鈍感なのに、そこだけで過敏なのである。
ここにも、ほこり…。あそこにも、ほこり。
6歳くらいになる子供が私に質問する。
「ねえお母さん。「ほこり」ってなんなの?」
「いまここらへんを舞っているものね。まめに掃除しないとどんどん出てきちゃう。お母さんをいじめる悪いものよ」
「へぇ~悪いやつなんだ」
「そうよ、そんなやつは家に入れちゃダメ!!」
7時、旦那が帰宅する。この人こそ、ちょっとした物事に過敏になり過ぎている人の代表だ。
「この味噌汁ダシ変えちゃったの?あと、米も○○にしてって言ってるじゃん」
「何でそんなに気になるの?」
「だってそりゃあ商品開発に味覚は大切だし、俺には「誇り」があるからね」
「それでも最近は過敏すぎるわよ」
その時、子供が、
「お父さん…「ほこり」だったの…お母さんいじめちゃダメ!」
「え?」
「そうね、そんなやつは家に入れちゃダメ!!」
「な、なんのこと?」
私は少しだけスカーッとした。あとで子供にお菓子でもあげよっと。
「結界」というものがある。ないのだがある。何を言っているか分からないと思うが、隣の席に座っているK君はいつも「僕は結界を張っている」と豪語する。
だけど私には見えない。見えないけどあるらしい。何の為の結界なのか、どういう結界なのか聞いてみたことがあるが、彼曰く
「君のようなごくごく平凡な女子には見えないかも知れないけれど、結界というものは到る所に存在する。それは僕のような繊細な心を持つ人々を守るために、言葉という暴力を無力化しているんだ」
だそうで、この時のどや顔が少しムカついたのと、「ごくごく平凡な」という形容詞に少しだけ反論したかった私は、
「じゃあね、例えば私が今、「はぁ?何言ってんの?馬鹿じゃない?」って言ったらどうなるの?」
「その部分が聞こえなくなるね」
それってただ耳に入れないようにしているだけじゃん、と思った私はその都合の良い結界をどうにかして無力化できないかと考え始め、ある日、閃いた。私はにやにやしながら言った。
「今日は「バカ」にいい天気だよね。うん、本当に「バカ」にいい天気。馬と鹿が降ってきそうな天気」
「…」
数学の時間、テストが返却されてきたとき。
「あら、K君「バカ」にいい点数ね。私なんか足元にも及ばないわ」
「…」
こういう事を繰り返していると、さすがにK君の表情が苦々しいものになってきた。休み時間。
「分かったよ、もう結界張るの辞めた。だからもうバカにするのやめろよ」
「いいよ。だけど」
「だけど?」
「ごくごく平凡な女子と呼んだことを謝ってもらおうか」
「え?そんな事言ったっけ?」
「忘れたとは言わせない。ごくごく平凡な女子に結界は破れないし、繊細な心を持つ私を守るためにこそ結界は張られてしかるべき」
「…すいません。だけどさ…」
「何?」
「結構、根に持つタイプなんだね」
「…結界が張られて聞こえませんでした」
「結界」というものがある。ないのだがある。
顔が想像上の動物のようになっている夢を見た翌日、色んな意味で日本人離れしているハンサムな青年に、
「パン食う?アンパンだけど」
と唆される想像をした午前を何事もなくやり過ごし、歯を磨いて、午後、意味もなくあの人の道具箱に残っていた研磨剤を窓に塗りたくってみた。そんな様子を見た妹が、
「お姉ちゃん、しっかりしなよ…」
と私を励ましてくれた。あの人は何処に行ったのだろう?私の頭をあらゆる方法でかき乱してくれたあの人…
先週の休日のこと。珍しく恋人らしく振る舞ってくれたのは、あの人なりの美学だったのだろうか?あの人はハンサムではなかった。いわゆるイケメンでもなかった。ただ一つ、頭がおかしかった。付き合いだして間もなく、私が、特に何も考えずに言った「アメリカの大統領って誰だっけ?」という言葉に、何故か彼は塞ぎこんでしまった。後で彼に話を訊くと、
<「アメリカの大統領は誰だっけ?」という一見するととても普通の問いを何故ここで僕にするのだろう?つまりここには、現アメリカの大統領に対する政治批判か、あるいは大統領を引き合いに出して僕を間接的に非難しようとしているのではないだろうか?例えば、現アメリカの大統領にあって、僕には無いもの…例えば、「勢い」、「生命力」、その他諸々…>
というような思考が彼の頭の中でものすごい勢いで進んでいたそうである。なんという邪推!!私はこの邪推力が原因で数限りなくコミュニケーション上の苦労をしたけれど、それが何故かとても面白かった。この上なく面白かった。それは私には無いものだったからである。
「あんな頭の変な人から離れられて良かったじゃん、ね。今度は普通の人を、、、」
「駄目よ。私は普通なの。普通だから…」
そういえば、彼がしきりに「普通になりたい」と言っていたのを思い出す。普通になってしまったら私が困ると言ったら、
「でも僕は君のその普通のところが好きなんだ」
と、とても真剣な口調で言っていたのを思い出した。それを言われた時の私の眉間には少し皺が寄っていたかも知れないけれど、彼が純粋に好きだと言ってくれたのは私の自信になった。私も、
「私もあなたの変なところが好きよ」
と答えた。だけど、私はかねてから抱いていた普通というコンプレックスを彼を知ることで少しづつ解消していったのだ。彼の言葉の5割がおおよそ、分からないけど理解できるようになった頃だった、私は何気なく
「だんだん、あなたの事が分かるようになってきたの。」
と言ってしまった。きっと彼はあの邪推力で、
<と言うことは、彼女は僕を必要としないのだろうか?なら僕は更に狂わなければならないのだろうか。でも僕は僕だ…>
という思考をやったに違いない、彼は
「僕、もう狂えないよ!!」
と叫んだ。私は真剣な表情とは裏腹に、吹き出しそうなのを堪えていた。だって、「もう狂えないよ!!」って何よ。私はそのままの彼で良かったのだ。だから、
「え?狂わなくていいけど」
と言った。結果的にそれを「あなたは必要ない」と受け取ってしまった彼は、数日後、何も言わず失踪してしまった。私は少し遅れて、彼の言葉と行動を理解して、昨日からこんな感じだ。
「ねえ、何か面白い事言って。」
「お姉ちゃん、私は今のお姉ちゃん以上に面白いこと出来る自信ないよ…」
だよね。何故だろう、この…
「あれ?お姉ちゃん、何か紙が…」
「え?」
「あ…その言い難いんだけど、お姉ちゃんの背中に…何か紙が貼ってある」
そこには彼の字で
『いつか君に認めてもらえるような、変人になって帰ってきます』
とあった。やばい。嬉しくて泣きそうだけど、ムカついて笑いたい。この複雑な感情は何なのだろう。え~い面倒だ、笑っちゃえ!!
デリケートな心に突き刺さる、いや突き刺さってしまうと拙いから染み渡る、メロディを探していた。
その時、丁度ラジオからある楽曲が。日本語に訳すと「俺は頑張っている」というニュアンスになる英語をひたすらに連呼しているという最近一部で流行っているという曲だ。
あんなもの誰にでも作れそうだという意見が大半を占める中で、私は一人「何を頑張っているのだろうか」と不思議に思っていた。もう一つ不思議な事は、そのメロディーがやたら気持ちいいという事である。私はきっと、この曲を作った人も同じくデリケートなんだろうなと想像した。
しばらく聴き入っているうちに、ラジオのパーソナリティーが、
「なんと、今日は彼からメッセージが届いています」
という情報を伝え、私は思わず身を乗り出した。一体どんな人なのだろうと胸が躍っている。
「それではどうぞ、デンジャラス・イーターさんです」
ん?
「いぇーい!みんな元気ぃ?俺マジ元気!この曲は便所の中でひらめいて三分でできたけど、マジでヒットしてうれしいです。えーと、あっと、今もマジで便所行きたくなってきました。あとで頑張ってきます!」
・・・「頑張ってる」って、もしか・・・。いやそれ以上考えてはいけない…。
頭痛がしてきた、マジで。
「切実なチョコレート」自体、無理やり書いたところがあるのですが、どうせだったらその作中の小説を何となく書いてみようと思って、また無理やり仕上げました。共に強引な展開になりました。というかちょっと乱暴な。
実験。と言えばいいでしょうか。
やや、僅かに日記。どうとも取られていいのですが、いろいろ順調です。では。
小指が痛い。それだけの事がやたら気になった僕は、この指の痛さを忘れる為に旅に出ることにした。見送ってくれたのは犬だけだった。なんて薄情な連中だろう。これが今生の別れかも知れないのに。
だが僕は肝心な事を忘れていた。僕は天然記念物並みの方向音痴だったのだ。
近年は「すまぁとふぉん」という何だか僕よりも頭の良さそうな物が世に出回っているが、生憎と僕はその恩恵にあやかれていない。というのも、僕の家には欧米の文明に毒された物品は置いてはならぬという、しきたりがあるからだ。そのしきたりを定めたのは、僕より堅物で、宇宙の神秘といえるほどの和の心を重んじている父である。しかしながら僕はその家から既に出ていってしまった身。必然的に、僕は僕の持っている能力の全てを信じて旅に出なければならない。ならば、この方向音痴という致命的な欠陥も己で何とかするしかないのである。
僕は、赤っ恥を承知で道行く人を呼び止めて、駅の方角を訊いてみる事にした。
「え?駅?あっち」
と言って通行人は、僕の方から見て前方斜め左を指さす。なるほど、そちらに行けばいいのか。僕は礼を言ってとりあえず左に進んだ。
「そっちは行き止まりだよ」
「…知ってますよ」
気を取り直して僕は歩き出した。
10分後、既に道が分らなくなっている僕が居た。その時、僕は眼前に「こんびにえんすすとあ」を認めた。そういえば、この「こんびにえんすすとあ」には地図とか売っていたはず。僕は勇み足で入店した。
「…で、分ったよ、そこまでは。なんで旅に出ないで俺んちに来るんだよ?」
「そこにとても美味い、ちょこれゐとが、売っていたから親友たる君に知らせようと思ってね。いやーちょこれゐとは素晴らしい、旅なんて馬鹿馬鹿しくなる」
「小指痛いのは?」
「多分、このちょこれゐとと赤い糸で結ばれていることを知らせて」
「無理があるでしょ。ってか、昨日突き指したって」
「ちょこれゐと ゐず びゅうてぃふる」
「くじけそうな未来」となっている部分を最初「果てしない闇」としていました。あの有名な曲のフレーズを意識してしまいますが、「くじけそうな未来」にすると何となく印象が軽くなる…っていうか馬鹿っぽくなるけど、「果てしない闇」にしてみたい気分があるのは、河童がそれを言うことが意味深だからでしょう。
で…説明したついでに。