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ナンセンスとそれから

物語を書くつもりです。リンクフリーです。

情景とともに

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何てことはない。ただ変わってしまっただけ。いつの間にか。

夕陽が落ちて、ほんのりと蒼い空を窓の向こう、見つめている。静かな穏やかさに包まれている。
何処にもないと思っていたものが、案外近くにあることに、驚かされている。それに気づくことが出来た自分にも驚いている。


次のページは開いている。


本当の始まり。まっさらなページの後にあった、どこにでもある、ありふれたストーリー。

ATJについて

Posted by なんとかさん on   0  0

地味に物語の方を更新しました。

ええ、本当に何にも考えてませんでしたよ。この物語がどんな風になるのかなんてぇ~。
ちょっと長めの物語は書き進めるのが勿体ない感じがするんですよね。色々想像するのが楽しいので。


ちなみに、「ATJ」というのは「あ てぃぴかる じゃぱにーず」(典型的な日本人)の頭文字を取ったものです。アナザーとなっているのは、もともとこの物語の主人公の弟を主人公にした話が「あ てぃぴかる じゃぱにーず」だったからです。


これはナンセンス物語ではないですよ、、、いちおう

ATJ アナザー④

Posted by なんとかさん on   0  0

『愛』についてろくに知らない私が『愛』について語る。これだけでも軽い冗談になるのに、何故か冗談みたいな展開は続いていた。私はこの「キャラクター祭り」の第二部、「キャラクターによるクイズ大会」の行方を会場の最前列に座って見守っている。私は乙女に、

「私の(キャラクターへの)愛を見ていてください!!」

とせがまれ、成り行き上、待機室から会場に移動することになった。クイズは順調に進んでいた。ところで、基本的に諸事情により無口であらねばならないキャラクターが人の声を発しなければならないのか私にはよく分からない。救いは変調器つきマイクが、明らかにオッサンの声をカムフラージュしているという事だろうか(前に居ると小さく低い声が聞こえるけれど、そこは聞こえない事にする)。更につっこみどころは満載で、クイズがこの商店街についてのマニアックな知識が微妙に織り交ぜられてはいるが、結局のところ問題は一般常識しかないというのは許せるにしても、どうして30問もやらなければならないのだろう?


壇上には、折り畳みの椅子が8個並んでいる。参加したキャラクターは8体ということになるが、参加しないキャラクターを含めると一体何体になるのかよく把握できていない。頭頂部が特徴的な出題者(酒屋の鈴木さん)は、良く通る声で所々詰まりながら問題を読む。

「えーと、ではこの商店街は50年前に出来ましたが、その50年前の19○○年の○○という人の書いたベストセラーは?」

こんな感じで漸く20問目である。ベストセラーがギリギリ誰でも知っているレベルだから良かったものの、あの乙女にとっては多少難しい問題だと思った矢先、乙女は物凄い勢いで挙手する。

「はい!「モルヒネ中毒」です!!ケロ!!」


乙女と言っているけれど、彼女は今『ケロ子』ちゃんになり切っている。そして彼女だけは変調器を使用せず、声を作って発言している。語尾に「ケロ」とつけるのは名前を考えるとベタなのだが、野菜のような顔だから会場に集まった客の半分はおそらく「どうしてケロをつける必要があるのだろう?」と疑問に感じている。


「はい、7番さん、大正解!!これで、、、12ポイントです」


言い忘れたが、キャラクターはネームプレート代わりに数字のプレートを割り当てられている。7番が半分以上点を獲得しているのは他のキャラクターが恥ずかしさがあって遠慮気味なのと、商品が地味なのと、あと彼女に圧倒されているからだろうと思われる。

「やった~!!ケロ!」


正解すると一瞬だけこちらを見るのは、きっと私に「愛」を見せつけるためなのだろう。何も言わないけれど、


<どうですか?私、キャラクターになり切れていますよね!!>


という声が聞こえてくるようである。私は、色んな事が重なった為か唖然として口が開き気味になってしまっている。それを見て何を思ったのか、『ケロ子』は暴走し始める。


「ケロケロケロケロ~」


明らかに奇声なのだが、これは問題を読み上げている途中で聞こえてくるのである。酒屋の鈴木さんもこれにはちょっと困り顔である。だが、一番やる気なのには違いないから、それをスルーして出題を続ける。こんな感じで、最後の問題になった時には、圧倒的な差で7番がリードしていた。



ここで嫌な予感がするのは誰もが同じである。


「では、最後の問題は何と20点のボーナス問題です!!」


そう、出題者は一番やってはいけない、点数の引き上げを宣言したのである。しかもギリギリで他の誰でも逆転可能になってしまった。<じゃあ、最初から一問だけやればいいじゃねーか>という声が会場全体から聞こえてくるような気がしたが、もうそれもお馴染みになってしまっていて観客は黙ってそれを受け入れていた。憤慨しているのは、乙女だけ。


「え~そんなぁ。一生懸命答えたのに!!ケロ!」


会場の空気は、乙女に同情を向けているけれど、殆どの人はどうせ最初からこうするつもりだったんだろうということはあるところから予想が出来ていたような気がする。あるところからは、というのは17ポイントになったあたりに、酒屋の鈴木さんが八百屋の高田さん(商店街の会長)から耳打ちを受けている様子が目撃されているからだった。


「でも、最後の問題も私が答えちゃうケロ!!」


「頑張れケロ~!!」


会場に居た純粋な子供が応援した。一生懸命なのが好きなのは誰だって同じだ。行き過ぎてなければ…。でもこういう時に限って、


「では問題です。この商店街の名前はなんでしょう?」

という超簡単で、早押し問題が出てしまうのである。しかも7番は手を挙げない。他のキャラクター達は最初戸惑っていたが、乙女が手を挙げない為に会場の空気が澱んでしまうのを嫌って、遠慮しがちに手を挙げる。


「はい、では6番さん」


「えっと…鍵山商店街…」


「正解!!なんとこれで6番が大逆転。優勝です!!」


会場はその白々しいやり取りに、なんというか絶望した。『ケロ子』はどうして手を挙げなかったのだろう。乙女はしょげているように見える。

り婦人

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スケッチブックに萎びたナスの絵を描いた。これが今の私の精神状態である、とは言えないから謎である。猫を描こうとしたのにナスになってしまった事が更なる謎を呼ぶ。それは何の意味もなく纏わりつく。むしろ纏わりつくからその意味を邪推してしまう、ナス。

「ナスねぇ…最近食べてないなぁ」

「どうかしたの?」

夫が心配そうに訊ねてくれる。

「あのね、こういう絵を描いたの」

「へぇ~結構上手いね。でもどうしてナスなの?」

「私に訊かれても分からないわ。何故か知らないけど、ナスを描いてたの…」

「う~ん。ナスだけに、かナスい、とか?」

私は無言のままジト目でねめつける。夫は、だんだん堪えられなくなって言った。

「あ!そうだ、『秋茄子は嫁に食わすな』っていう諺があるでしょ?だからじゃない?」

「じゃあどうして、萎びてるの?」

夫は首を捻ってしばし黙考する。

「分かった。これはきっと栄養が足りていないという身体からのシグナルなんだよ。身体は、栄養価の多い野菜を求めているけれど…」

「求めているけど?」

「今年は悪天候で育ちが良くない…とか?」

「そうすると、野菜の事について随分気にかけている事になるわね、私」

「違う?」

私は少し考えてみる。確かに夫の言うことにも一理ありそうだけれど、私はこうとも解釈できると思うのである。まず、猫を描こうとしたところからスタートしているという点がポイントだ。私はきっと無意識に猫を飼いたいと思っているのであろう。けれど、アパートでそれは現実的ではないから、せめて家庭菜園でもしたいなとどこかで思っているに違いない。だけど、この洗濯物も満足に乾かない日照の少ないアパートでは、育てた野菜も萎びてしまうに違いない。私は猛然と引っ越したい気分に囚われる。だけどそれも現実的ではない、何故なら…



「あーなんか、すごくイライラしてきたわ」

「え?どして?俺なんか悪い事言った?」

「どうしてって、猫が、ナスで、萎びちゃうの!そうならない為にどうしたらいいか分って!!」

「理不尽だ…」


だけどそれは理不尽じゃない。

偶然を

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多分それは、偶然でしかないのかも知れない。偶然に生まれてくるもの。
考えている間、あるような気がする。そんなもの。

あと少しで手が届きそうなところ。

良くも悪くも考えている。考えている間、『偶然』のうちのどれかが「そこに」触れているのだ。

例えば「君」と呼べるような誰かに、触れているのかも知れない。

フラジャイルに囚われて

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タチバナ:「第二候補は、融通が利かない旧式のタイプライターだ」

ロッキー:「タイプライターってだけでも旧…」

タチバナ:「二階の物置に、隠されはしないで隠れていたよ。以前リサイクルショップ、『カンタダ』に持っていったんだけど、『回らないから』といって断られた」

ロッキー:「回らない?打っても紙が出てこないという故障かい?」

タチバナ:「リサイクルにならんと言われたのさ」

ロッキー:「君はその場で分かったの?僕には、その言い回しが婉曲過ぎるように思われるよ」

タチバナ:「そんな事では、地下に潜り込めないし、天にも昇れないし、永遠に余所者だよ」

ロッキー:「へ?」

タチバナ:「アンダーグラウンドと、その反対と、方言みたいな…分かる?」

ロッキー:「何となく。でも、分かりたくない。だって正しい日本語を身に付けている人、不利じゃん」

タチバナ:「単に努力が足りないだけさ。時には、『偶然』としか思われない薄い繋がりに頼ってみるべきだね。普通の見方では関連が薄いものも、それを同一視すれば色んな事が見えてくる。例えば、タイプライターとキーボードとか。まあ、これ位は基本過ぎるね」

ロッキー:「はにゃ。で、なんの話だっけ?」

タチバナ:「君は話の流れを重要視し過ぎるきらいがある。私の話の流れなんて、部分に比すればまるで大した事はない。尤も、『比べられたら』の話だけどね。私はね、タイプライターを、今度の日曜フリーマーケットに出品しようかなと思っただけなんだよ」

ロッキー:「あ、そう」

タチバナ:「ほらっ。思った通りの反応じゃないか。そんなんだから、君はメジャーコードだけで満足してしまうんだ」

ロッキー:「別にギターなんて弾けなくたって困らないよ」

タチバナ:「狭いね。けど、一貫性はあるね」

難扇子

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「決してどうしようもないとかそういうことではないんです。ただ、」

ある日の夕暮れ時、私はそのまま帰宅するのが何となく躊躇われたので馴染みの店で愚痴っていた。乗り越えるべき色々な状況がある。期待に応えたい。けれど今はモチベーションが上がらなくて困っている。空中分解しそうになっていた精神がちょっとマシになるわけでもないが、聞き苦しい声で長々と話しているうちに聞き手の相貌が歪んできた。

「予め言っておくけどね、私は聞くだけだから」

いつも困らない程度に宣言してしまう。素晴らしい守備で、首尾だ。店主も仕事に関わるボーダーラインを超えないようにしている。実際には私しか分からない悩み。それをこうやって聞いて貰っている。確かに滑稽だ。そこから何か新しいことが浮かんだりするという展開をよくドラマなどでは見るが、経験的にそれはあり得ないだろう。


「ええ、分ってますよ。『分かっちゃいるけど辞められないんです』ってね」


高尚さの欠片もない、夕刻のただの冗談。大方の予想通り、眉を顰められる。


そんな中、徹底的に議論している男性が二人居た。控えめに主張している方が、


「わりと淡白な少年が、世間体を気にしているという事についてどう思いますか?」


と何の事やら判然としない問いを投げかけ、朗らかに笑っている。相手は答える。


「淡白というのは、世間体を気にして、という事かな?確かにあり得るね」


「その淡白な少年というのが、実は非常に腕白で…」


「ほう、腕白だったのか」


「というくらいの、ちょっと上手い話を考えていたんですよ」


「なるほど、ちょっと上手い話ね。なかなかどうして、考えつかなくなってくるものだよ」


「それがいけません。考えようとするからいけないんです。考えちゃあ駄目なんです!」


「でも考えないとね。っていうか考えているって言ったでしょ?」


酔いが回ってきたのもあって、私は「そうだ、そうだ」と小声で言った。すると物凄い勢いで、


「あなたもそうなんですか?分かってませんねぇ、考えようとしているんじゃなくて、既に考えているんですよ。それで考えているっていうのは後から分かるんですよ。」


私は、それを言われて少し思うところがあった。確かに、今の私も、頭の重くなるような事を考えようとしているんじゃなくて既に考えていたのだ。『分かっちゃいるけど辞められない』って凄い名言だよな改めて考えると。



もう少し、粘ってみようか。

扇子

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きっと、いつかは成就する。そう願って、今この瞬間に集中する。こんな没入、あるいは没頭で、世界を動かしている。というか世界というものに影響を与えられるとしたら、その世界の事実の幾らかを本気で考えなければいけない。事実を本気で受け取って、そこから想像できる光景を表現しない限り、人は本気で考えていないとして相手にしてくれない。あと五分で到着する。その前にもっと想像を膨らませないと。


出来の悪い兄でいた。センスの欠片も感じない、ただの作業の積み上げがあるだけだった。忠告を受けたのはほんの数年前で、その時、それまでの自分を否定されたように感じて、らしくもないことを色々試した結果、センスというよりも技巧的な意味での向上があって、見る目がない人にはそれで何とか誤魔化せるようになった。だが、今でもセンスのある人には、それが無いと一目で分かるような明らかな欠陥がある。己では、新しい事が浮かばないのだ。決まり切った事なら綺麗に出来る。それは理論があるからだ。だけど、新しい事についても理論を適用できないかばかりを考える時点で、終わっている。


「踏み出すのが怖いんだ」


いつの間にか、心情を吐露するようになっていた。もっと自由でいいじゃないか、何故そんなに狭く考えるのだ。分かってはいる。分かってはいるのだけれど、先がない。


十時の約束だった。人通りはあまりない。空模様は裏切らなかったが、ビルの窓に反射する陽射しが、ジリジリと攻めたてる。今夜も安眠を妨害されるのだろうか。しきりに時計を確認する。あと二分だけど、まだ来る気配がない。


「それについては、この次に会った時にしましょう」


考えてみれば、あの時、あの席から私の意識はそこに置きっぱなしだった。彼が何を思って一番重要な部分を次の機会、つまり今日に回そうとしたのか、それは想像するしかないけど、そこにあるべき重要な部分など私にはありはしなくて、あの時も何とか誤魔化そうとしていた。彼はもしかしてそれを…いやその考えは辞めておこう。私がすべきことは、あくまで重要な部分を考える事なのだから。



「やあ、○○君。おまたせ」


考えている間に彼が現れた。暑いというのにスーツ姿で、それでいて涼しそうな顔をしている。私は一礼をして言った。


「どうも、お久しぶりです。ここでは暑いでしょうから、こちらに」



私は彼と共に喫茶店に入った。中はいつも通りひんやりしていた。ごく普通の、わりと古めの喫茶店である。店員がこちらを見て人のよさそうな笑顔を見せる。既に顔なじみになっていて、私はここで昼食をよく取る。席は一番奧。私は二人分の温かいコーヒーを頼んだ。やにわに彼が言った。


「どうだい、元気にしていたかい?」

「はい。そちらはいかがでしたか?」

「うん。まあまあといったところだよ」

「なるほど」


私は少し目線を逸らすように、彼の腕から微かにはみ出ているかなり特殊な装飾の時計を見つめた。何というかそれは、宗教的というのか、どことなく崇高なものを表現しているように思えた。


「今年の夏はどうだい?暑いだろう?」

「ええ、そうですね。まるでメーターが振り切れてしまっているような感じですよ」

「はは。確かに、限度を超えているよね。でもね、限度なんて人間がそれを越えて欲しくないという理由で設定しているだけであって、摂理はもっとこうなんというか非情なものだからね」

「我々の思いは通じないってわけですね」

「基本的にはそうなるかな。でも、もし誰かがその摂理をどうこうできるというなら、話は違ってくるけどね。もっとも、摂理というのはどうこうできないものとして認識されているからね、まあ認識がそうならどうしようもないんじゃないかな」

「すると、もしそういう認識でみなければ、どうにかする事も出来るかも知れないって…そういう事でしたよね、以前の話は」

「摂理と、常識は違うけれど、常識を摂理として見ているような場合は、それは単に習慣に囚われているだけだから、そう認識しなければいくらでもなんとでもなるという話さ」


熱いコーヒーが運ばれてきた。店員に会釈すると、少しはにかんだ表情で、『ごゆっくりどうぞ』と言った。私は再び会釈した。彼はコーヒーに少し口をつけて続ける。


「もし、君が可能だと思えば、可能なのだよ。いやここは穏当に、可能性を捨てなければ、何とかなるかも知れないという事なのだよ。そして、私みたいにある程度、この世界で行われている事の実態を知れば、可能性を捨てる事がいかに愚かな事かという発見をするわけだよ」


それを聞きつつ、私は全然別の事、例えば干して置いた洗濯物はもう乾いただろうかというような、どうでもいいことを考えていた。私は、重要な部分、つまりこの後に聞かれるであろう、アイディアについて出てくるわけがないと思いつつも、何とか出さなければならないという意識から、逃れるように相槌を打ち続ける。


「それで今日の本題さ。君ならどうやって、この…」

「消えつつある世界に留まっていられるか。そうですよね」



世界が消えつつある。それは確かに事実だった。それは何というか、我々にとっては漠然とした感覚でしかないものだが、世界が今までの世界とは異なる方向に動き出しているという、ある物理学者の提唱した情報理論によって確かめられた事実だった。その理論によれば、世界の情報の全ての流れに、異様、つまりバグとしか言い得ないものが混ざり込んで、それが世界の安定性を揺るがして、これが一定の限度を超えるとこれまでとは違う秩序に向かうか、無秩序になってしまうという。違う秩序ならともかく、無秩序になってしまうと、そこに適応するように身体を作り替えなければならなくなるそうで、私にしてみれば単なる情報の乱れによって、そんな事が本当に起こり得るというような事すら眉唾なのだが、生態系に及ぼす影響、社会に及ぼす影響を考えるとどうも、うかうかしている場合ではないようなのである。


「私は、そう、『私』は、確かにそれをまだ信用しきってはいません。というか、どんなにそういう事を知っても、本当は大して影響がないんじゃないかと思ってしまうんです。ですがもし、それが覆せない事実なら、私は無理にこの世界に留まるような事はしないと、そう信じています。だから、この世界を、つまりこの秩序を維持する為の知恵を絞れと言われても、実は全然、本気になれないのだと思います」


「まあ焦らず、焦らず。私は何も君一人で解決しろだなんて事は言っていないよ。ただ、君だって現実にはこの変わりつつある世界に身を置くものだろう。だとするなら、それなりに変わってほしくないものもあるはずだ。例えばこのとても涼しい喫茶店のような場所が、やっぱりずっとあって欲しい、そう願うだろう。だから、そういう具体的な場所、物、人などをどうやって続かせるか、或いは適応させるかは考えられるはずだろう」


「確かにそうですね。でも、私には精々、その情報にフィルターを掛けるという事ぐらいしか浮かびません。ただ誰でも考えられる事のわりに、実現性は全く低い。或いは、情報がどこから出てるのか、それを突き止めて排除するという根本的な治療というのか、方法が考えられます。まだそっちの方が可能なのではないでしょうか?」


「確かに、この情報の異変を取り除くというのが一番手っ取り早いだろうね。しかし、私はこの異変を異変とは思っていない。恐らくは、何か必然的な理由があるのだよ。そして、それは我々に試練を与えているのではないかと私は思う。どうやって世界が、或いは一人一人が、この危機を乗り越えるのか、ってね」


温かかったコーヒーは冷房によって既に飲みやすくなっていた。私はそのぬるいコーヒーのように、なるようにしかならないというような事を思い付いたが、彼の前ではそれは通用しないだろうと感じた。


「そこに、私の意志が関与する余地はあるのでしょうか?多分、私は、『私』を続けるだけでしょう。危機は乗り越えられないかも知れないけど、一つずつ確かなものは何か、それを確認しながらやれるだけのことをやる。残念ながら、私にはどうしたらいいのかとかいったそういうセンスがないのです。つまらない人間なんです」


「そうか」


私と彼の会話はそこで途絶えた。彼は例の腕時計を見た。それは崇高なものに見えたのだが、なんだかその分、近寄りがたいものだったんだなという事が分かった。



私はどうするのだろう。それは分からない。でも、これまでと変わらないのだという事も分かり切っている。なんというか、つまらない人間だ。

ちょっとした

Posted by なんとかさん on   0  0

どうせだからツイッターのアカウントを作ってみました。

https://twitter.com/nonsensky

ネタとか考える時に便利かな。行き詰まりがなくなりますように…

とことんなつ

Posted by なんとかさん on   2  0

季節が変わろうとしている。だからかは分からないが、霊感が冴えわたる。あんなにぐらついていていた心がきりっとして、今の自分に自信が持てる。
私はそれまで保たれていた平衡を破る、決定的な一言を告げる。

「どう考えても、あんドーナッツはドーナッツではありません。ドーナッツはやはり穴が空いているからドーナッツなのです」

あんドーナッツを美味しそうに頬張っていた母は、喉に詰まらせて、むせた。私は素早く茶を渡した。

「あんた、何急に?私を殺す気?その話は『ドーナッツで良い』って言ったじゃん」

「いえ、この前の私は夏の熱気で頭がどうかしていました。どう考えても、あんドーナッツは、」

母は憤慨しながら言う。

「頭がどうかしているのは今でしょうが!どうして人が折角美味しく召し上がっていたところを邪魔するの?」

「いえ、そこでもし本当のドーナッツだったら、喉に詰まらせる事なんてありませんでしたよ。何故って穴が空いていて、細かく食い千切ることが出来るからです」

「もしかして、あんたワザと…」

「単なる偶然です」

私は主張した。

「なのに、この仕打ちは酷いです。どうして夕食がドーナッツになるんですか?」

「ううん。ドーナッツじゃないわよ。だって穴が空いていませんもの」

『サーターアンダギー』というらしい。気分が常夏だからか、それ以上霊感はやって来なかった。

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