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6月のまとめ

気分としてはあっという間に6月が終わってしまいました。色々とすることが
あったし、土日の予定もずっとあったので結構充実していたように思えます。


創作の方がメインのブログなので作品が書けてないと更新にはならないのですが、
意欲的に書けたのがあって、自分としても幅が広がったような手応えがあります。
まあ、ぼちぼちと。
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同じ表現でも

言語は同じ体系であるように思われるが、そもそもが、ある言葉である事物を指す
ようにルールを定めて人間が使用しているのだから、そのルールそのものが完全に
同じという事はなく、常に変化してしまう可能性を有している。それでも基本的には
同一のものとして社会では通用している。特殊なコードで言語を使用する事が公に
認められたとした場合、それ以前とそれ以後で同じ文章でも違う読み方が出来て
しまう事になる。もっとも、文章は書かれたその時の言語使用に鑑みて意味を読み
取るのが基本である。

だが、現時点で対応する事物のないナンセンスな表現が、時代が下るにつれて予期
していない事物と対応するとして了承された場合、ナンセンスだった時代の文章に
ついて「ナンセンス」だという表現だとして読むことは習慣的には難しくなる。


局所的な場所における「コード」としての使用が後々広範囲に拡大して、普通の
意味とは少し違うスラングのような特殊なニュアンスを獲得していた場合、
『意図的に』そのコードを想起させるように言語を使用したかどうかで解釈が
変わってきてしまう。ある意味で誰かが使った比喩的な表現の『引用』もその
文章単体では意味しないような内容を想起させるという意味で、特殊であるが
それは普通に認められている。


基本的に同じとみなされる言語の全体が潜在的に指し示す事が出来る、意味できる
内容はよくよく考えてみると常に変化している。ルールとはいえ、特殊な言語使用
しかしない者達しか居ない世界では、その言語使用が通用してしまう可能性が
ある。


同じ記号の配列という意味で同じ文章を全く違うように読むことが出来るとまでは
ゆかないが、書かれた当時と当時の時代背景を失わせる条件で読まれる事が出来る
という意味においては、ある文章は予期していた以上の内容を持つのかも知れない。

魔法使いメリーちゃん

暴力的なほどに豪雨な散歩道を『魔法使いメリーちゃん』の真似をして歩く。『魔法使いメリーちゃん』という古式ゆかしい魔法少女ものに魅せられた5月はそれはそれは滑稽なほど愉快だった。

「君そういうのって軽蔑してたじゃん?」

「あれは善きものを認められぬ若輩者の過ちさ」

メリーちゃんを布教しようと思って見せたBDに10年ばかり付き合いのある友は若干拒絶の構えを見せたが、強引に押し切った。



[魔法使いメリーと機械兵団]



短髪の良く似合う少女メリー13歳は、中学校のクラスでも若干浮きつつあった。彼女はその歳の少女にしては珍しく機械フェチで、彼女の家の庭の古びた倉庫の中には何に使うのかすらよく分からない鉄や超合金でできた奇妙なパーツが所狭しと積まれてあった。その手の趣味が理解できない家の者は秘境と化した倉庫に気味悪がって近寄ろうとはしない。メリーは学校が終わるとそのまま倉庫で長時間技術者顔負けの製作を行い始め、そのまま夜な夜な怪しい機械を作っている。


中学校に上がる前の時代からの仲のよい友人であり理解者である「葉子」と「洋子」(何故か名前の読みが被る)とは別々のクラスとなってしまい、以前なら彼女らのフォローがあって周りとクッションが出来てメリーでも意思疎通できていたのが、今や彼女単独でコミュニケートしなければならず、常に設計する物の事を考えていて説明が疎かになるような彼女の性格からすると、入学式直後の自己紹介からして既に失敗の連続になってしまうというのはあり得る話だった。



「あ…自分…集積回路が好きです。あ、あのパーツが好きな方とお友達になりたいです。はい…」



同級生はそれに対して何と答えたらいいのか迷っているようだった。密かに彼女の事を気に掛けていた者もいたのではあるが…。それはさておき、彼女の家では母がいつもの様に旦那マイケルに愚痴をこぼしていた。


「どんな育て方をしたらメリーみたいな子になっちゃうのかしらね」


「さぁ…」


「昔から思ってたけど、あなたメリーに甘いわよ。あの時『倉庫を買ってやる』って言わなければ今みたいになってなかったのに…」


それはメリーの10歳の誕生日の事だった。プレゼントに好きなものを買ってやるぞといわれて、恥ずかしそうに「あのね…倉庫」と答えたメリーの姿がいじらしくて思い切って買い与える事にして以降、メリーとマイケルの会話の回数が倉庫に籠りがちになって著しく減少してしまった事をマイケルも後悔はしている。


「でも、メリーがそれでいいんだって言うんだから仕方ないだろ」


「それだけじゃないわよ。バカ高い専門書まで買わされてるんだから。まあ勉強になっているからいいのだけれど」


「メリーには可愛らしい女の子になってもらいたいなんて言ったら、時代遅れになっちまうのかな…」


「素直で良い子なのは確かなんだけどね…」



若干、両親とも教育についての悩みがあるようである。確かに自分達が思っても観ない方向に長所を伸ばし続ける子供がいたら、普通は躊躇うものである。が、現代は均質化された人間の世界ではなく極端に専門性が必要となる時代である。早くから長所を伸ばそうと思う事もまた奨励されていると言えるのかも知れない。そんな両親の思惑を知ってか知らずか、メリーは今日も薄暗い空間のライトで照らしだされた領域で真新しい専門書に目を通しながらノートパソコンで怪しげなプログラムを書いている。


「これをここでやると、あそこがああなって…あ、でも合理的でないかも」



既に日常のほとんどの事を論理的な思考によって処理しているメリーにも昔は子ども子どもしている時代があった。泣き虫なくせに正義感が強く、曲がった事が許せない性格で、周りを心配する事が多かった。そんな折、大親友の「葉子」に出会い、


「本を読むと色々な事が分るよ!!」


とアドバイスをされたのでその通り実行し、また同じころに親しくなった「洋子」に、


「自分で色々なものを手作りするのは楽しいのよ!!」


と教えられた事を切っ掛けに、『ものづくりとは何か?』という本を読んで感銘を受け、「折からのこの国の経済状況における活路は物を作って海外に輸出する加工貿易」だという学校で習う社会の参考書の、一文にはっとさせられ彼女自身の目指すものは殆どこれで決定した。よくよく考えてみると、素直で、その通りだと思った事はすぐに実行してしまうという極端な性格も彼女がこうなってしまった事に関係していたのかも知れない。もともと勉強は好きな方だった彼女が独学で面倒くさい数式が並ぶ本も読破してしまうころに、


「あれ…、これってもしかして凄く難しい本だったのかな…」


と気付いた彼女は間違いなく天然である。



さまざまな要因が彼女を作り上げたわけだが、幸福な事に「葉子」も「洋子」もそんな彼女を暖かく見守り続けた。というか、時には過保護ではないかと思われるくらいにメリーをかばい続けた。見た目の問題だが、メリーは誰から見ても愛おしくなるようなルックスをしていたので、二人とも大切な妹のように思えたのかも知れない。その庇護が期待できない新たなクラスで、何をしたらいいのか分らなかった彼女はそれを余計助長するような難しい書物と睨めっこしている。


「メリーさん」


突然自分が呼ばれたことに気付いて、メリーは顔を上げた。そこには満面の笑みの少年が立っていた。


「はい。なんでしょう?」


メリーは素で答えた。少年は笑みを崩さず続ける。


「僕と付き合って下さい」


メリーは不思議そうな顔で少年を見つめる。


「付き合うって何ですか?」


基本的に常識に疎い彼女にとっては、このシチュエーションが何を意味しているかすぐには分からなかったのである。俄かにクラスが騒がしくなる。新学期が始まって間もない頃で、まだクラスの成員を把握していない人も多く、「あいつ誰だ?」「あの子って確か…」という初々しい反応がある。そんな様子もおかまいなしなのか、少年はメリーに説明した。


「男女が仲睦まじく過ごしたり、出掛けたりする事ですよ」


やや説明の仕方に恣意的な部分も見られるが、説明としてはおおむね正しい。というか、そういう事をテレビや漫画などで読んで知っていればそれで十分に伝わるのだか、メリーは文字通り受け取った。


「要するに、お友達になってくれるという事ですか?」


「お友達よりももっと親密ですね」



「?」


少年の邪気のない優しそうな目を見る限り、別に『友達』くらいならなっても良かったし、メリーとしても丁度良いと思うところがあったのでメリーはこの申し出を受ける事にした。


「なんかよく分かりませんけど、いいですよ」


「そうですか。ありがとうございます」


この瞬間クラスが騒々しくなったのはお約束である。だが両者ともそれぞれの理由で意に介さず、メリーが自然なながれで差し出した手を少年が握るかたちでこの関係は始まった。


「ところで…」


「はい。なんでしょう?」


「お名前は何というのですか?」


「僕の名はカイキと言います」


「『カイキ』さん?よろしくお願いしますね」


「はい」


少年の落ち着き払った様子と、終始崩れぬ笑みはそれまでの事を考えるととても異様な事なのだが、皆よく知らない者同士、それは何となくあり得る事なのかなという空気が出来あがりつつあった。



授業が終わり放課後、カイキはメリーの席にやって来て言った。


「一緒に帰りましょう」


「ええ。いいですけど」


メリーは異性には友達といえる存在がそれまで居なかったが、同じようなものだと思っていたのであっさりと同意。「葉子」と「洋子」にカイキと「付き合い始めた」事を知らせにゆくと、


「え…そんなメリーちゃん。本気なの?」


と葉子。


「メリー。私達を置いて…」


と洋子。二人ともよく分からない涙を流し始めたので、どうしていいか分らずカイキが「二人だけにしてあげましょう」と言われとりあえずその日はカイキと二人だけで帰る事にした。特に何を話していたわけではないが、メリーの家まで半分くらいとなった頃にカイキはやにわに口を開いた。


「メリーさんって集積回路が好きだって言ってましたね」


「あ…。そうですね。人類の叡智がそこに詰まっているように感じるんですよね。カイキさんも好きなんですか?」


するとカイキは苦笑いをし始めて、


「人類の叡智だったら、やっぱり魔法だと思いますよ」


と不思議な事を言った。何の事かわからずに、


「魔法って?」


と訊き返すと。


「それはですね、こういうものですよ」


と言って突如手を空に翳し始めた。一瞬後、その手に緑の光の渦が出来あがり、それがどんどん大きくなってゆく。そして辺りにはどこからともなく轟音が鳴り響きはじめる。


「なに?なんなんですか?これ!!プラズマ?」


「だから魔法ですよ」


カイキはニヤリと笑うとその手の上に浮いている光を渦を直下のアスファルトめがけて振り下ろした。




ドーン!!!!!!




とんでもない爆音と衝撃がメリーを襲う。それは物理の勉強をした事がある者なら反自然というしかないような出来事だった。メリーの身体が少し宙に浮くくらいになって、衝撃の後、着地に失敗したメリーは尻もちをついてしまった。カイキはそこに手を差し伸べ、


「大分出力を抑えたんですけど、まあ攻撃魔法でしたしね」



「なななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななななな!!!」



普段の様子でテンションが低いように見られがちなメリーだが、驚くときは目一杯驚くのも彼女だった。メリーは自分の常識が一気に崩れ去ってゆくのを感じた。


「なにこれぇえええええええええええええええええええええええええええええ!!!おもしろーーーーい!!」



と同時に、常識では測れない事に対して柔軟な心を持っている年頃なので、呆気なくその光景を現実のものとして受け入れてしまうメリー。これにはカイキも苦笑い。


「そういうタイプの人だったとは思いませんでしたけど、まあいいです。メリーさん。僕が付き合って下さいと言ったのは他でもありません。『僕と供に戦ってください』と言いたかったのです」


メリーは興奮を抑えて、基本的な質問をする。


「戦うって誰と?」



「ああいう輩とです…」



とカイキが言うと空に異様にキラキラ光っている物体が突如として現れた。物体は何故か機械のようなフォルムなのに、不気味なまでに「活き活き」と連動していて、それはまるで生きているかのように蠢いていた。それにしてもメカフェチなメリーですら鳥肌が立ってしまうような異様なカタチである。それを生物に喩えるとしたら、「G」と「ミミズ」を足し合わせたようなものである。密かに虫が苦手なメリーは、


「なんて冒涜的な物を作っているの?信じられない…」


と怒っているような、気味悪がっているような反応。


「あいつらは、基本的に機械なのに魔法が掛かってるから『反重力』なんですよね…これが面倒なんです」


どうみても動力が無いのに浮いているのは異常だと思っていたけれど、説明されても「そうなんですか…」としか言えないメリー。こうなると何でもアリの様相を呈してくる。それでもカイキはいつのまにやら真剣な表情になって説明する


「でもあいつらには弱点があって、『核』となる部分は集積回路だったりするんですよね」


「え…そうなの?」


「だから、ご存じかも知れませんがその部分の特性を知っていると戦い易くてですね、でも魔法が受容できる思春期あたりの年齢の人でないと魔法がそもそも使えなくてですね…」



「魔法を受容?」



「そうなんです。手っ取り早く言うと、メリーさんも使えるようになるんですよ、魔法」


「本当に?」


「本当です」



しばらく沈黙が訪れた。どうやらメリーは魔法が受容できるという事を彼女の頭で受容できないようである。その間にも空の物体は徐々に彼等に接近してきている。


「とにかく、もうすぐに封印を解きますから」


「え…?」


カイキが両手で何かを包み込むような素振りをし始めると、その上に再び光の渦が出来あがる。先ほどとは違って紫の柔らかい光である。そして、その光の渦はメリーの身体に入り込む。メリーの全身が紫に発光する。


「これって…」


「先ずは空を飛べるようにしました。とりあえず一旦退避して下さい!!」



そういわれてもどうしたらいいのか分からないメリーは、


「どうやって!?」


と叫んだ。その時、物体がメリーに急接近してきた。全体が異様に稼動して、ひどく軋んでいる。本能的恐怖を感じたメリーは「助けて!!」と思ったが、次に気付いた時には何か様子が変だった。身体が先ほどの上空で浮いているのである。


「…本当に飛べちゃった…」



そこにカイキもやって来て言った。



「じゃあ次は基本的な攻撃魔法。トラックで突っ込んだのと同じくらいの衝撃を一か所に集中してぶつけられます。言い忘れましたが、呪文とかはなくて念じるだけで良いです」


カイキのさきほどと同じような仕草から今度は緑色の光がメリーの中に入ってくる。



「これで使えるのね」



「はい。集中力が途切れない限り使い続けられますが、闇雲に使ってもしょうがありません。やはり敵の特性を見極めて使ってください」



「あの…ゴキブリみたいな奴の特性…?」


メリーが彼女の持っている知識を動員した結果、あの物体は速度が速いわりに接続部に弱さがありそうだと感じた。メリーは叫びながら魔法を再び接近してくる物体に放った。


「っていうか、あんたは美しくないのよぉー!!!」



意外にも美的感覚はしっかりしているメリーの連撃により、接続部はボロボロに剥がれ、『核』と思われる部分が剥き出しになった。


「あ…メリーさん。そこでタイム」


「え?どういうこと?」


するとカイキは高速で物体のところまで飛んで、何か持って再び上空に戻ってきた。


「何をしたの?」


「集積回路は出来る限り集めないといけないんです。まあ、研究の為なんですけどね」


「っていうか、基盤ごと持ってくるのね…」


あえなく『核』を剥がされた物体は動作を停止し、いつのまにか消滅した。




その後何事もなく帰宅を再開した二人の間には何といったらいいのか分からない沈黙が訪れていた。徐々に耐えられなくなりメリーは色々な事が知りたくなって、やっとの事で質問した。


「ねぇ、あの機械はどこから来たの?」


「4次元以上の空間っていえばいいんですかね」


「何で来るの?」


「3次元空間の生物を研究する為と言われていますね」


「…誰が言ってるの?」


「僕の知り合いです」


「ど…」


「そんな話より、付き合い始めたんですからお互いの趣味の事について話し合いましょうよ」


「…」


いまいち納得できなかったが「付き合う」というのはこういう事に巻き込むためだけではなかったらしい。


「じゃ、じゃあ、どんな本を読んでるの?」


「『カイキ』って呼んでください」


「え?」


「僕の事は名前で呼んでくださいよ」


「…『カイキ』くん?」


「呼び捨てでお願いします」


「…カイキ、どんな本を読んでるの?」


「ドストエフスキーとかですかね」


「…の、何?」


「未成年とか好きですね」


「…あたしはヴィトゲンシュタインの論理哲学論考…」


「そ…そうですか。今度読んでみますね」


相性がいいのか悪いのかよく分からない二人の物語が何となく始まった。



[しがない男の普通の話]



「これのどこが魔法少女メリーちゃんなんだよ…」


BDを視聴し終えた友人は呆然としながら言った。


「まあ、最近は複雑な設定にしないと見る人も満足しないんだろうね」


「胃がもたれそうな設定だな…」


暴力的な豪雨の中を魔法使いメリーちゃんの真似をして歩くと言っても、ごく普通に歩いているだけだったりする。6月の雨はリアリストには辛いものだとも思う、そんな午後。

時間の

「そういうんじゃないんです」


それは何とも言い得ないのかも知れない。単純で分かり切っているのは、進もうとしたのは
本当だったという事である。精一杯の毎日で、あの時の挫けかけていた私ではなくて、うだ
うだ言いつつもそれでも何とか前に進もうとしている私が今も確かに続いているという事だ。


輝いていた時間すらあるという事なのである。



立ち直って、再び歩き出そうとした私は確かに目指しているものと一致していた。その瞬間を
ずっと続ける事は難しいけれど、その瞬間に思い描いていたものの向こうに行くために何かを
遺していた私が、確かにそれを前よりもしっかりとしたものに引き継げるようになっている。



その雰囲気の中でずっと進んでいられるだろうか?その雰囲気の向こうにあるものを目指して
ゆけるだろうか。足りないものばかりだ。だけど、少しづつ何かを進めて、その想いが続く
ように自分を、世界を変えてこれたろうか?



それで良いというものはずっと同じなのに、それに浸っていてはそこから先に進めない。何も
かも忘れてしまうような瞬間にまた、それが何らかのカタチで続いている事を知る。



『過去』と割り切るからこそ、現在と繋がるのではないだろうか。『過去』になってしまうから
こそ、『過去』のものとして見た結果として、今に今のものと違うカタチで伝わるのではない
だろうか。



それは普遍の事として。ずっと変わらない事を伝える何かとして。



今の時間ではない時間で時を越えて…いつまでも伝わるようなものとして残っているのではないだろうか。
この時間を越えた視点で世界を見続ける事が出来たなら、何かは乗り越えられそうで…

伝えること

一般的に考えを誰かに伝えたいという願望はあるかも知れない。それは時々「したい事」になるであろう。それが文字で表され、読まれ、何かを伝えうるという意味では、何らかの目的において意味のある行為となるかも知れない。

幸せの為に

幸せに関係あることが意味のあるように思えもする。幸せになるために考えられた事、文脈においては意味あることは幸せに必要な事なのだろう。


「○○の為に」という文脈は意味あるものを作り出す。

素敵なダイアログ

手品のようには状況は変わらない。どう考えてみたってそれ以上何も詰める事も引き延ばす事も出来ず、いつも箱の中はぎゅうぎゅう。相変わらず私のような不器用な人間には厳しいと言うしかないような条件が続いている。


この状況は変わるのか?ずっとこのままなのか?


ずっとこのままというわけではないという事も知っている。けれど事態がよく知っているように続くとしたらその厳しい条件も同じように反復されるだろう。どう頑張ってみても地球上ではニュートンのリンゴを落ちないようには出来ないし、宙に浮かす事も出来ない。ただの一秒も待ってはくれないのだ。



そう言っている間にもリンゴは落下する。それをキャッチできるという保証もなく、かと言って落ちないまま待ちぼうけをするでもなく、「必ず落ちるだろう」という事が分かり切っていて、そういう事に向けて心の準備だけは一人前に出来ているのが不器用な私なのかも知れない。




「まあ、私が出来る事はどうせ変わんないんだけどね…」





頭の中で考えていた事を整理して呟いた。しばらくの間規則的に目をしばたいていた事に気付く。パソコンの画面を眺めつづけていて、もう目は疲れ切っているのに、それでも見なければいけない情報が次々と表示され続けているからだ。その時は相変わらず何もしてないようで情報収集だけはしているような時間が続くだろうと思っていた。





『何だってそんなパンケーキのような顔をしているの?』







「何だこりゃ?」



一人なのについ声を出してしまったが、私はパソコンに突如として表示された見慣れぬダイアログに驚いた。メッセンジャーでも起動していただろうかと思ってタスクを調べてみたが、考えてみるとそんなものをこのパソコンで使用したことはないので、もしかするとトロイの木馬とかウイルスとかそういうもの…つまりは『他者による乗っ取り』の可能性があるかも知れないと焦りはじめた。



反射的に『再起動』を選択する。だがおかしなことにいくら待っても再起動が実行されない。



「ヤバい…」


パソコン中級者レベルから進歩が止まっている私は「酷い程度に乗っ取られている」という風に事態を認識してしまう。あとで考えれば強制シャットダウンすら出来ないというのは設計上あり得ない事なのだが摩訶不思議な現象よりは「私よりも詳しい誰か何か分らない事をされた」という可能性を自然に考えられる程度には私は現実主義だったのだ。


「電源抜くしかないのかな…」


物理的に起動させなくさせる事を選ぶという事は「壊れたテレビを叩いて直す」のとそれほど次元が変わらない行為だが、この場合はそれが一番確実な方法だという認識は強ち間違いでもない。状況は危急なのだ。


「ひゃぁ~!!」


情けない悲鳴めいた叫びと供に椅子を飛び上がってケーブルを抜いて、データが壊れていない事を咄嗟に祈る。やってはいけない事をやってしまったかのような不安が襲ってきたが、その不安はすぐさま違うものに変わった。


「え…なにこれ…」



そこには『電源を抜いたはずなのに、未だ変わらず表示され続けているディスプレイ』があった。そして先ほどのダイアログには、


『あ、『パンケーキみたいな顔』っていうのはね、のっぺりとした顔って意味だよ』



と追加の文章が加わっていた。この辺になると私は混乱すると同時に、「夢でも見ているんじゃないか」という気持ちになってしまっていた。漫画よろしく頬をつねると痛…くはないけど痛覚はある。間違いなく今まさに現実で異様な事が起こっている。しかも、



『物理的にありえない』



というレベルの異様な事である。ダイアログには私の思考を読んだかのような『物理的にありえない』というダイアログが表示されている。異様な事はそれなりに経験したけれど、『物理的にありえない』上に更に奇妙奇天烈な状況になったのは初めてで、私は若干泣きそうになっていた。



「悪かったよ…ごめんよ…お願いだから…」



何を謝っているかというとさして悪くもない「日頃の行い」をそれこそよく分からないモノに対して謝っているのだけれど、私は一方で冷静に「現実主義者ってあり得ない事が起ると弱いんだな…」という風に自分を分析していた。実際問題として、現実をよく知っているつもりだから、そうじゃない事に対して心の準備が出来ていないのである。さっきまでは起るだろうという事に対して既に心の準備が出来ていると考えていたくせに、こういう風なことが起るともうどうしたらいいのか分からないし、何だが今まで作り上げてきた自分が全部崩壊したような気さえしてしまうのだ。



『いや、君は悪くないんだけどね…ほんと気紛れにこんな事しちゃって悪いと思ってるよ』


ダイアログはまるで会話しているかのように続く。気持ち悪く、気味が悪くてしょうがないが、情報を得るにはこのダイアログの後ろ側に隠されている情報源が何なのかを把握して説明してもらわなければいけない。中途半端が一番辛い。私は思い切って「対話」に挑戦してみる事にした。



「何…あんたは喋れるの?それで」


先ずは必死に考えた事が正しいのかどうか調べる事が有効だ。テンパっていたが初手としては悪くない。


『喋れるっていうか、まあ何ていうか…』



濁されてしまったが、とにかくこちらの喋った事は何らかのカタチで伝わっているらしいし、これまでのメッセージを振り返る限り、普通に人間と同じような思考をしているような人が喋っているのと変わらないようにも思える。


「っていうか、あんた誰だよ」


ダイアログは瞬時に次のものと代わる。


『アタシには一応『ヨウコ』っていう名前があるんだよ。覚えといて』


このさい性別が何であろうと名前が何であろうと気味悪さには関係ないのだが、日本人に馴染みのある名前というのはそれなりにリラックスさせる効果があるようである…仮にそういうところまで『読んで』敢えてそう名乗っている可能性も否定できないが、ここではとりあえず相手の情報を信用する。


「ヨウコさん…?何でもいいからとにかくこれが何なのか説明してよ!!!」


『まあまあ、そんなに慌てないでよ。これはね説明するとすっごく面倒くさいから『法則無視』っていう技が使えるって思ってよ』



「法則無視?」


『そうそう。物理法則とか、地上でのありとあらゆる情報の流れとか、『定め』とかをアタシは無視できるの』



とても嫌な情報である。もっと言えば『厭』である。だってそれは神と殆ど同じようなものだからである。



「もしかして神さま?」



『プププ…マジで本気でそんな事考えちゃってるの?結構ピュアだね』


いい大人が「子供の頃に純粋に思い描いているような『神さま』」というようなものを何処かで思い描いていたという事は、確かに恥ずかしいかも知れないが、だってこんな条件だったら誰だってそう云いたくなるだろう。何故か情けない男性を辱めるような女性のような声で文章が脳内再生されたのは、「ヨウコ」という名前をきいていたからなのは間違いない。私はみじめに言い訳する。


「だってそうだろ。神さ…『神』のようなもんだろ。全能者みたいなもんだろ」



『それがね、『全能』でもないんよ。特に人の心を動かしたりするのって単に情報を植え付けるだけでも無理だし、何ていうか人間っていうのは法則があるようでないようなものだからね。ちょっとした情報を与えただけでも振る舞いが微妙に変わっちゃうの。しかも予測不能だし』


この文章を読んで、すぐに理解できるほど私には微妙な事など分らないが、雰囲気的には何となくわかるような気もした。それでも不気味な事があった。


「でもさ、私の筋肉を操作して、窒息させる事も出来るでしょ?もっとひどい事も…」



『まあやろうと思えばできるんじゃないの?』



「ひぃ~!!!!!!お助け!!!」



私よりも若々しい女の人に蹂躙されるイメージが突如頭に浮かんで私は叫んでしまった。



『なによそのイメージ…アタシはそんなに若くないし、そんなことしないし、それに…』


ちょっと間があって、



『そんなに美人でもないんだけど…』



「…」


私は何と言ったらいいのか分らなかった。とりあえず疑問に感じていた事を訊く。



「頭の中のイメージまで分かるんだ…恥ずかしい…」



『あんね情報として受け取れるけど、処理するのは普通のOLだからね。変なイメージだと解釈できないわけ万能じゃないのよ』



「…」


ますます何といったらいいのか分からない。強大な力を有しているくせに、自分の頭で普通の処理しか出来ないというアンバランス。何となく強大に思えていた存在が物凄く日常レベルになって心の準備が出来てしまったのかいつの間にか私はパソコンの前に着席していた。気を取り直して、私は訊いた。


「まあ何でも良いけどさ。とにかく説明してよどうして私なんかと相手しているの?」



そこが一番の肝である。相手がどういう能力をもっていたとしても、その能力を使って何かをするのであれば目標と目的があるはずである。目標がとりあえず私だとして、目的は何なのか、それが分れば後は細々した事である。


『悪いと思ったわ…ズルいと思ったわ。本当ならこんな方法でアプローチをするべきじゃないっていうのは分っているつもりなの。でも自分に自信が無くて…』



「え…?」


ダイアログの表示が忙しくなってくる。


『あのね…アタシその…あなたの『顔』が好きなの…』



『あ…『顔』っていっても頑張っている時の顔ね…』



『というか、あなたの『頭の中』も好きなの…』



『そのどうしようもなく現実主義的で不器用で、情けないところが、アタシのような能力を持つ人間には逆に羨ましいの』



『この気持ち分ってもらえる?何ていうか、その気になれば何でも出来るかも知れないけど、そうじゃなくって制限の中で必死に頑張っている一生懸命な言葉がアタシは欲しいの』




私は色々な意味で泣きそうになっていた。なんだがよく出来るお嬢さんに全存在を馬鹿にされているように感じたからである。確かに自分で自分の事をしっかり把握していることは私の長所だし、それがあるから可能な事が見えて活路が見出せて、そういうところを密かに自分で誇っているのに、そういうところまでほとんどお見通しの癖に、あまりにも直接的に言ってしまっているので配慮が無いのだ。


「…ひでぇよ…ヨウコさんひでぇよ…それバカにしてるよ」



私は正真正銘、涙を流していた。



『あ…ご、ごめんね…ごめんなさい』



ただし間違いない事には、「ヨウコ」は私の気持ちの全てが分かるという事ではない…というかどういう反応をするのかが予想できないという事があるようである。それは確かに本当にそれを言われてみない事には分らない気持ちだし、コントロールすら出来ない事なのかも知れない。



『傷つけるつもりはなかったの…そのアタシに出来る事なら何でも言って、出来る限りの事はするから…』



冷静な自分は泣きながらも既に色々考えていた。これは思考なので読まれている可能性もあるが、そういう私の性格すら知り尽くしているのだろう。これは私らしい判断である。



「じゃあ今度の日曜日、直接会いましょう。確認しますけど本当に女の人ですよね?騙してないですよね?」


『騙してないよ…と言っても証拠がないとアレだし…じゃあ、ちょっと待っててね』



するとプリンターが突然自動で動き出した。普段紙をセットしている状態で置いておいていて、電源も入っているが、USBケーブルが抜けているので微妙にこれも物理的にありえない事だが、既に慣れてしまっているので置いておいて、紙に白黒でプリントされたのは地図と写真だった。どうやら近くの店と、女の人がピースして映っている。


『恥ずかしいけど、それアタシ…その店で会いましょう?』


「分りました。あの一つ良いですか?」


『何?』


「結構可愛いと思いますよ、ヨウコさん」



次の瞬間、ディスプレイが真っ暗になった。どうやら電源を落とされたようである。パソコンの電源を再び入れ直したが先ほどのダイアログは何処にも表示されていない。


「本当に、リアルに慣れてない人なんだな…」


『うるさい!!!』


大きく表示されたダイアログに私はもう驚かなくなっていたし、一人爆笑していた。

アツい子

溶けそうなアイスと僕の頭。頭が溶けるというのはどういう事なのだろうかと言う事を考えると余計溶けそうになると感じたので、もう放棄。


「夏は暑いよね、っていうのを「あつはなついよね」って言う事はそれほど」


「それほど、」


アイスキャンディーを咥えて焦点が定まっていないケイジは僕が放棄した言葉を拾いかける。でも考えるのが面倒くさくなってきたようで、それより先の言葉が出てこない。


「アイス食べたい」


「買ってこいよ。ってか買ってきて」


「あじぃー。もう駄目だ」


僕も僕でもうそれより先の行動に移るつもりがない。



夏、公園の日陰にあるベンチでだれているという典型的な状況下でするべきことは簡単である。本当に何もしないという事だ。動きもしないどころではない考えもしないのだ。おそらく相当戯けた事をぬかしているのだが、何故こういう時に限って僕の相方は僕よりも低レベルに堕ちて行こうとするのだろうか。もうその下はないくらいってくらいに堕ちているのに、彼は平然とその下にゆく。


「俺、前世は蝉だったんだよ」


「は?」


「蝉だよ。みーんみーんって鳴くあれ」


「知ってるよ。そうじゃなくて前世とか本当に面倒くさいんだけど」


「ばかやろう現実逃避だよ」


「現実逃避?」


「暑いという現実を逃避する為にはそうじゃないテキトー設定に逃げ込めばいい」


まあ分らなくもなかったが、どうしても確認しておかなければなならないこと。


「一ついいか?」


「なに?」


「よりによって現実と変わんないところに逃避すんなよ、効果が無い」


「あ…言われてみればそうだな」


ケイジはアイスを齧って上空を見上げ、何かを見ているようで何も見ていないような目つき。


「でもあれだよ、蝉だったら夏に負けないだろ」


「勝ってもいないけどな」



そんな世界で一二を争うくらい愚かな僕等の傍を同じ学校のベストを着ている女子生徒が通りがかった。微妙に話をする人なので、目が合うと「あ、いたんだ」と声を掛けてくれたが関係的にその後が続かない。気を遣って、



「今日学校あったの?」


と訊くと、


「部活」


と答えた。何となくこちらが気になったのか、ベンチに寄ってきた。


「何してるの?」


「みりゃ分かんだろ暑いから前世の話をしているんだ。蝉」


ケイジはもう頭がやられていて荒々しい上に訳が分らない事をのたまわっている。ダメだこりゃ。


「はぁ?わかんないし。蝉って何よ」


「夏にみーんみーんって鳴くやつ。キモくてグロい」


真面目に説明すると頭を使うので僕も便乗した。敦子という女の子は一瞬変な顔をしてムっとした表情を浮かべたが、ちょっとだけ噴き出して、


「漫才ですか?」


と何故か丁寧語で訊いてきた。


「漫才っていうか、二人ともボケてるから」


「いやだってこいつが『あつはなつい』とか言うからさ…」


敦子という女の子は結構ノリが良い子なので、


「あぁ、あるよねそういう、、、ダジャレ?」


「ベタベタ過ぎると暑い。クールにボケないと。ダジャレっていうか、言葉遊び?」


「じゃあ私もちょっとボケるから聞いて!」


「なになに?」


僕は結構興味津々だった。女の人がボケを積極的にやるのはあまり見たことがなかったからだ。でも聞かない方が良かったかも知れない。



「敦子はあつい」



「「へ?」「は?」」



今のはボケだったのだろうか。彼女にとっては会心の出来だったのかニヤニヤしている。基本的な事が疑問だったので訊いた。


「その「あつい」って、どういう意味?」


「え?普通に今暑いなって」


「あ、よく宣伝文句とかでいう「アツい」じゃなくてね」


「ううん。あ、私って・・・アツい?」


打って変わって恥ずかしそうに訊ねてくる女の子の様子は可愛いとは思ったが、「アツい」と言えるのだろうか?


「アツいっていうか敦子」


ケイジはまた手抜きをして言う。


「そうだね、敦子だね」


僕も再び便乗する。予期していない返事が返ってきたので困惑している彼女。どうしたらいいのかちょっと考えていたようだが、だんだんこちらのペースに呑み込まれてきて面倒くさくなってきたのか、


「ここ座るから」


と言って空いていたスペースに座って彼女もボーっとしはじめる。しばらくして、



「アイス買ってきてよ」



と言い始めたので、僕はアイスを買ってくる人をジャンケンで決めるという提案をする。


「いいね」


「よし」





結論から言うと敦子という女の子はジャンケンが弱かった。


「なんで私が行かなきゃいけないのよ」


文句を垂れながらしぶしぶ買いに行ったようだが、しばらくたっても中々帰ってこない。


「敦子まじ敦子」


「それどういう意味だよ」



おそらく帰ってこないであろう彼女を待ちながら、「敦子の前世は蝉に違いない」という設定でボケボケしている僕等だった。

表現された

表現されたものから誰かが経験して得た事を感得して活かせるように読み取る
という事は、唯一無二の経験が何らかのカタチで他者に引き継がれる可能性
があるという事でもある。経験しなければナンセンスでしかない言表を真だと
信じる事は難しいし無理にするべきではないが、少なくとも同じ境地に至る
為の情報になっているのかも知れない。


「○○は△△である」というような単純な情報ではなく、語りとしてある情報
、他の付帯的状況が前提されて解釈されるような情報は、論理的な思考による
推論も含めてそれを『読む』という事に真摯である事によってより具体的な
内容を再現できる。


その上で「真」だと思える事の先に進めるようになる事が本当の意味でそれが
身についていて、引き継いでいるという事だろう。そして現実は、蓄積されて
いる事がある限り、常に「最新」という事があり得る。

変化をつけるか?

明日うきうきしてしまうような予定があって、全開になったら来週の体力は
大丈夫だろうかと少し心配ですが、とにかく思いっきり楽しんで来ようと
思います。


ちょっとした時間で物語を書こうと思っているのですが、どうも手応えが
なく、書きたいものも明確には見えていない状態です。狙い過ぎている
のがイケないのかも知れないのですが、、、
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ナンセンスな物語を書くつもりです。リンクフリーです。

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