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ナンセンスとそれから

物語を書くつもりです。リンクフリーです。

猫耳東風

Posted by なんとかさん on   0  0

「にょあ~ん」


という鳴き声によって僕は<また呼ばれた>と感じた。やや強い語調で発せられた音だけにさしずめ『早く来てよ!』というところだろうか。この世には『猫語の教科書』という有名な本が存在するように、猫の鳴き声はある種「猫語」という扱いをした方が適切なのではないかと思われる所以がこういう強いメッセージ性である。



それを発した猫は女の子の『ナナ』である。シンクの細い縁に器用に乗っかって、その位置から新鮮な蛇口の水を飲むために呼びつけられる事が最近になって増えてきている。あとの二匹はすっかり猫用の浄水器に馴染んでいるというのに、『ナナ』はそこでチロチロと水を飲むのが好きなのである。


「ほれ」


舌で水を掴まえやすいようになるべく細目に出してあげるといつものように縁から首を伸ばした体勢になる。なんというか動物の本能的にはこちらの方が自然なのかも知れないが、そもそも蛇口から水が出てくるという事を了解して、しかもそれが人間が解放しない事には出てこない、だから人間を呼びつけて出してもらおうという発想になるのは明らかに『学習』に類する事である。



自分の持ち場に戻りながら、



<面倒臭いけど、一匹だけだからね>



と思いながら読書を再開する。すると1分と立たずに再び『ナナ』が


「にゃー!」


と鳴く。これは彼女が『飲み終わったよ!!』と報告する時の声音である。基本的にあまり賢くはないと思っている『ナナ』は何故かは分からないけれどトイレに行く時にも、トイレを済ませた時にも几帳面に僕に知らせてくる。最初は、


<何か鳴いてるな…>


という認識だったのが、もしかしたら一々知らせてきているんだろうかと思うようになって、今では完全に鳴くタイミングが決まってきている。水をだしっぱにするのは僕としても忍びないのでなんとなく、


「ありがとう、美味しかった?」


と『ナナ』言いながら蛇口を戻す。『ナナ』はしばらく縁に立ったままである。運が悪いともう一回くらい同じことを繰り返す事がある。今回はどうやら満足したらしく、ややあって『ナナ』の定位置であるカーテンの裏に戻っていた。



僕はここで猛烈に何かを話したい気持ちになる。誰かに?いや違うそうではない…僕は『ナナ』に何かを話したい気持ちになっているのだ。それはどういうものであろうか。多分このようなものだろう。


『よろしいかねナナくん。君が僕をそのように呼びつけるという事はだね、僕も君を呼びつければ駆け付けてくれるような事があってもいいと思うのだよ。だのに君は、僕の「おいで」という言葉に反応したことがあるかい?ないだろう?つまりはね、そういう事を僕は言いたいのだよ』


動物は違うけれどこういう事を言っても『馬耳東風』という言葉がここでは相応しいに違いない。

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ふくらし粉バーゲンセール

Posted by なんとかさん on   0  0

圧倒的ダルさ。説明するのも面倒で正直なんでこんな仕事をやっているのか分からない、分からなさが限界突破していて最近ではなるべく仕事の時は『無』になろうと心に決めている。今思うと迂闊だったかな。


世の中で言う所の真っ当な事を避けて生きてきたわたし、当時20歳が興味本位で怪しげなゲームをスマホにインストールした時からわたしの人生はとてつもなくへんてこりんなものに変貌した。そのアプリは個人が作ったものらしくてゲームの内容は『ミステリーを解き明かす』種類のもので、自分が『探偵』になって陰謀が行われているアジトを突き止めるというものだったんだけど、ゲームのバグか何かで途中からゲームを全く進められなくなって同じ場面を繰り返してしまうような不具合があった。当然、アプリの評価は最低で、


『クソゲー』


『こんなもの公開するな』


とかのレビューが並んでいたんだ。で、わたしはと言うと付き合う事になった人がわたしの私生活があまりにだらしがないからって愛想をつかしてしまっていた時で、なんか現実逃避気味にそのバグったゲームで同じ所を何回も何回も繰り返す『作業』を続けていたの。一週間くらい経って、アプリももうストアから姿を消していて、


<やっぱり修正されなかったかぁ>


って残念に思ってたんだけど、その日またちょっと嫌なことがあって現実逃避をしていたら思ってもみない事が起こったの。


「あれ!!続きができる!!」



そう、そのゲームが繰り返しの場面から抜け出していて、これまでに見た事が無い場面に移っていたの。知らないうちにアプリが更新されたのかなって思って確認したんだけど、履歴を見てもそうじゃないって事がすぐにわかった。だとすると、このゲームが何かの偶然で正しく動いたのかもなって思ってその時はちょっとワクワクしながら続きを進めたの。1時間くらいゲームに熱中して、ストーリーの最後に陰謀の組織のアジトを特定するシーンが出てきて、


『アジトは〇〇の〇〇だ!』


っていう探偵のセリフがあったんだけど、パッと見て実在する住所だって事にすぐに気付いたの。というのも、わたしが通っていた高校の近くにそういう住所があったからなんだけど。とにかくその時に住所を紙にメモってみて、


<一体何なんだろう?>


って思いつつもなんとなくそこに行ってみようという気持ちになったの。今思うと『誘導』されていたって事なんだけど、そんなことを知る由もないわたしは本当に不用意にその住所に経っていたビルのある一画にのこのこと出向いていったってわけ。



そこに居たのが『太郎』さん。あのゲームの開発者で…そして本当にクレイジーな事をやっていた人。ややイケメン。


「お!辿り着いた人が居たんだね。おめでとう」


わたしを見るなり、まるで来ることが予想できていたみたいににこやかに微笑みかけてきて、そのまま部屋に通されて、ゲームクリアの『ご褒美』という事でケーキとコーヒーをご馳走になったの。今考えるともう少し慎重に考えればよかったと思うんだけど、それはあの時のわたしには想像できなかっただろうと思うとちょっとやるせない気持ちになる。まあ、そこで『太郎』さんという人とゲームを作った目的について説明してもらってあの人が言うには、


『こういう風な展開になったらいいなって思って作って公開したんだ』



という事だったんだけど、実はあのゲームのバグは『意図されたもの』で、わたしが偶然していたように何度も何度も同じ場面を繰り返しプレイしてある回数…千回とかになると続きがダウンロードされるようになっていたんだそう。普通の人だったらバグだと思って繰り返したりなんかはしないから、最後まで辿り着く人は本当に限られてたって話。実際、そこで住所が表示されてもわざわざそこに来る人は稀だけど、『太郎』さんの云う『変な人』だったら来るかもって思ってたみたい。わたしは自分の事を変だと思った事はなかったけど、変なことをしていたのは確かだなってちょっと感心した。



その後ざっくばらんに世間話みたいなことが始まって、わたしがその時『バイトをしているだけで特に夢とかはない』的な事を話したら『太郎』さんは神妙な面持ちになって、こんなことを訊いてきたの。



「もし、本当にゲームみたいな事がここで行われていたとしたら、そんな仕事をしてみるつもりはある?」


「え…」


口ぶりからもしかして本当に陰謀のアジトなのかもって思ったらゾッとしてきたんだけど



「陰謀だとしても、犯罪ではないと思うよ」



という『太郎』さんの言葉に唆されたカタチになるんだろうか、結局わたしはそこからその組織『たらこ三昧』のコードネーム『アジテーター梅』として活動することになったの。でも表面上は『たらこ三昧』じゃなくて太郎さんが代表の有限会社『ティピカル』の事務として雇われているという事になっていて、実際にちょっとした雑用とかの仕事もある。それも社会上は正式な仕事だし、だからそれはそれでよかったの。



問題がその『たらこ三昧』としてのとーっても『地味』な活動なの。どういう風に地味かと言うとわたしが各種のSNSを駆使して、今では『たらこ三昧』の一員だっていう事が分かっている芸能人のファンを演じるっていうワケ。でもそれがわたしの基準でとっても面倒臭い事でいくら仕事でも心にもない事を投稿し続けなきゃいけなくて、若い女だからって事なのか時々変なのからメッセージが届いたりするのを、「ちゃんとリアリティーを持たせる」のと「評判を落としてはいけないから」って事で丁寧に、丁寧に対応しなければいけないって事。



もっと面倒臭いのは、地道な活動が一年後位に実ってきて段々とフォロワーが増えてきて、時々組織の芸能人と他の人に分かるように『やり取り』できるような所まで来たって事。



「こういうのって、マッチポンプって言うんだよね」



って笑いながら太郎さんは説明してくれたんだけど、確かにあの人が言う通り全然犯罪じゃないのが何とも言えない感じ。太郎さんの『戦略』では、わたしは『アジテーター』として一般人の中でそれなりに知られる存在になるのがベストなんだって。つまりいつまで経っても地味なまんま。それはそれでモチベーションが上がらない。で、今に至る。



あの事務所でわたしは太郎さんと向かい合って表向きの仕事をしている。


「麻沙美ちゃんって、アートについてどう思う?」


太郎さんがわたしにこんな事を訊いてきた。表向きの仕事として今あるゲームのデバッカーというのをやらされているんだけど、案外こっちの単純作業の方がわたしに合っているような気がする。それをやりつつも、裏の仕事の為に昼休みにSNSにアップロードするつもりの写真を特殊なアプリで加工したりしている。でも思い入れがないから『無』になるしかない。


「アートってよく分かりません」


正直に言ったら、


「そうなんだ。なんかね僕の友達が、今度仕事で絵を描くんだって」


「どんな絵なんですかね」


そう応えてみたけれどあんまり興味がない。


「神さまだってさ。麻沙美ちゃんは神さまって信じる?」


太郎さんの性格を考えるとどんどん話が脱線していきそうな気配。


「神さまは…居て欲しいとは思いますけどね」


そう答えると太郎さんは、


「そうだね。神さまは見てるかもねぇ…」


と遠い目をしながら言っていた。その表情をぼんやり見ていていた時、わたしは前から訊きたかった事を唐突に思い出した。


「そういえば、太郎さん」


「何?」


「『アジテーター』って何ですか?」


「え…?」


太郎さんは打って変わって『なんだこの人は!?』という目でわたしを見ていた。


「麻沙美ちゃん、調べてなかったの…扇動者だよ。煽って盛り上げる人のことだよ」


「ウェーイ、パリピ的な?」


「ん…まあ今はほとんど死語だろうからな…仕方ないね。まあそんな感じだよ」


もう一つ気になる事があった。


「じゃあ『アジテーター』は良いとして、何で『梅』なんですか?」


「あー、それね」


と太郎さんはそこでうんうん頷いてこう言った。


「僕も常々『和』の心が必要だなと思っていてね。和風な名前にしたかったの」


「そうですか」


あんまり理由はなさそう。そうこうしているうちにもう少しでお昼だ。

切り取り方

Posted by なんとかさん on   0  0

寒さが『やってきた』と云うのが相応しそうな月曜。しばらく『冬らしさ』を忘れていた感じだけれど、これくらい冷えると身も引き締まる。武漢の方のウイルスの規模がどんどん膨れてゆくにつれて、悪い事態を想定してしまうけれど出来るかぎりの対策を講じてもらいたいなと思うばかり。


個人的な話としては物事の『解釈』について変化というか発展があって、自然と定まってくる何かがある。そういう時に過去のメモなどを読み直すと別な『活かし方』(別な読み方)が浮かび上がってくるというのは結構重要で、なんであれ『前』には来ているんだなという感覚になる。


なんとなく景色の見え方も違う。切り取り方にも『今の自分』が現れているのだろうと思う。



だね

Posted by なんとかさん on   0  0

日曜の夕方、少しづつ気持ちが切り替わりつつある頃合い。『探し物は何ですか?』的な疑問もなくはないのに、どうしても何かやっておきたい。


やろうとしている事に『果てしなさ』はあるなと思う。段々とナンセンスな感覚に近いものがやってきて、確かにそこまで進んできたのだなと実感される。自分を了解させて、動かしてゆく、その連続が『何なのか』という事も本当は大事で。


案外、人間臭いところが『甘え』とはまた違う何かなんじゃないかという、そういう事を友人と語り合ったけれど、本当にそんな感じ。一番知りたい事は想像するしかない事であって、『困ったような』とでも言えそうなにこやかな表情が浮かんでくる。


だからさ、まあね、とか。


黄金旅程のその後で

Posted by なんとかさん on   0  0

『夏の始まり』という趣のある日の事、これまでに歩いたことのない不慣れな道を歩いている青年がいる。GPS機能で位置を確認しながら少し小高い場所にある背の高い洋館とも言える建物の門の前で立ち止まった彼の名は何を隠そうバンデンラ・ゴジジウこと吉岡末吉である。午前でも近辺とは違う妙な静けさのある場所で、門の中には番犬が居るのが分かる。敷地内に茂木々もどこか日本的ではなく、ゴジジウのような庶民感覚では気後れがしてたまらないようなシチュエーションだけれど、今回は取りも直さず館の主が直々に彼に面会したいとの事である。


「よし…」


意を決してインターフォンを押す。しばらくして、


「今遣いを向かわせますので」


という家主のものと思われる声が聞こえてくる。そこで少し気が緩み、


<立派な家だなぁ>


とか普通の感想が心の中に浮かんできた辺りで突然番犬が「ワン」と鳴いてまた気が引き締まる。


「そうだ。今日は『商談』なんだから、気合入れないと」


紙面でアート作品の依頼という話を受けてからというもの、彼の中で勝手に『ビジネス』感覚が立ち上がり彼なりに今回の件を整理した結果、本日この館で報酬も含めた会話が交わされるであろうという事が想像された。今朝祖父である「かつらーむき」にも、


『第一印象で決まるからな』


と参考になるのかならないのか微妙なアドバイスを貰って、やる気に満ち溢れてはいるが、具体的な事はあまり考えてきてはいない。



そんな彼の前に現れたのはいかにも『執事』といういでたちの男性である。その洗練された動作と風貌に圧倒されながらも家の中に案内され、おそらくは客間と思われる部屋に導かれたバンデンラ。そこも赤い絨毯に、大きなテーブルに、シャンデリアという『これでもかテンプレート』が待ち伏せていて、いよいよ己の中に「場違い感」がやってくるのをこらえ切れなくなってきた。


「すぐに旦那様がいらっしゃいますのでお待ちになっていてください」


「は…はい」


案内された席に座り、緊張しながら待っていると館の主がゆったりとした歩みで部屋に入ってきた。おそらくは高齢の男性で、非常に立派なスーツを来て現れ、朗らかな表情でバンデンラを見つめてから、


「お待たせいたしました。本日はお越し頂きありがとうございます」


と恭しく頭を下げた。


「いえいえ、こちらこそこの度はご依頼いただきありがとうございます」


それに倣うように、立ち上がって一例をして主が席に着くのを見守る。そんな風にして順調に始まったかに見える商談ではあるが、ここからがまたこの物語らしい展開になってゆく。一通り自己紹介が終わり、主の名が『マイケル飯田』という事からどうやら少し珍しい生い立ちである事が想像されはしたが、とにかく温厚な人柄であるという事が了解され、ゴジジウはほっと胸をなでおろしていた。ただマイケルの特殊性…あるいは奇特性はここから発揮された。


「確か、オリエンタルアートを目指されているという事ですよね。それも過去にあったオリエンタルアートではなく、新しいスタイルのオリエンタルアートという事だそうですが、それが具体的にどういうものか少しご教授いただきたいのですが」



「つまりですね、オリエンタルなアートというものは和の心を大事にしたアートで、日本的なものは生活の中に現れますから、そういうところからアートなものを引き出してくるという事ですね。ですが、オリエンタルという事は何も日本だけにはとどまらないわけで、オリエンタルなものとして日本の中にあるものを見てゆくという事ですね」


相手は流石に芸術の分野の知識があるらしく、バンデンラの説明でも一人うんうん頷いて「なるほど…そうか、その辺りがシュルレアリスムに通じるのか…」など納得しているようす。この辺りで気を良くしたバンデンラは最近製作している蝉の抜け殻を使ったアートで具体的に説明してみる。


「蝉の抜け殻は日本的なものですよね。そこに何かを見るという事をオリエンタルな発想だとするなら、つまりはそこにストーリー性があっていいと思うのです」


「なるほど。素晴らしい。幻惑的ですな!」


この辺りで勘の良い読者は気付かれるかも知れないけれど、マイケルは『オリエンタルアート』の『オリエンタルアート』性というよりも、そこからの発想が突飛すぎて『シュール』になってゆく様態に関心があるのだ。それは少し前に脱オリエンタルアートのコンセプトで製作したものが評価されたのと大した差がない。そんな齟齬にバンデンラが気付く様子はなく、とにかく自分の作品が評価されているのだという事を前提に今回の作品の依頼の詳細が取り交わされる。



「それでですね、今回は是非『絵画』の製作を依頼したいのです」


「どういうものをご希望ですか?」


「そうですね上手くは言い表せないのですが、私は『カミ』に興味があります」


「紙?ペーパーですか?」


アクセントの関係で思わず聞き直したバンデンラに対してマイケルはこう言った。


「いえ、『カミ』、つまり西洋でいう所の『GOD』というか、オリエンタルアートの中で神がどういう位置づけになるのか知りたいのです」


「ゴッドですか…。それは『八百万の神』の発想でも構わないという事ですか?」


バンデンラは一応確認したのだが、後者だった場合にバンデンラの手に負えるかどうかはそれこそ『神のみぞ知る』である。


「かまいません。むしろ貴方が思う『カミ』を表現していただければ私は満足です」


「なるほど…大作になりそうですね」



というような話から、報酬、その渡し方など、或いはちょっと世間話的な事をして『商談』は無事(?)終了した。帰り際、バンデンラは再び門の所まで送ってくれた執事にこう訊ねる。


「執事さんのお名前は何て言うんですか?」



特に訊いた理由はなかったものの彼はこう答えた。



「古城=ミハエル=セバスチャンです」


念のためもう一回発音してもらってからバンデンラは館を後にした。

『更新』

Posted by なんとかさん on   0  0

日々出来るかぎりの事をと心掛けていると、時として突破口となるような事に思い至る。今日は足りなかった何かが埋まるような、そういう感覚を味わっている。


『事情が複雑だ』という事は仕方のない事だとしても、上手く解きほぐせるような関係を発見できると大分見通しが立つ。自分にとって必要な知であって、世の中にとってどういう事になるわけでもないけれど、だからこそ自分で見つける必要があった事なのだろう。



平日でも

Posted by なんとかさん on   0  0

平日…と言っても金曜なので少し感覚が違うのだが、自分から話題を探しに行っている状態なのはいつも通り。阪神大震災の日の記憶というか、あの時期の事も何となく思い出している。東日本大震災の記憶とお互いに参照するように、或いは最近もトレンドのニュースに上がっていた『地震のリスク』を考えるように、もう一度『震災』というものについて考え直す方がいいような気がしている。


どうしてもこの『日常』というのは滞りなく進むものだという雰囲気がある、というか『日常』自体がその雰囲気を表している語でもあるから、その感覚で文章を書いていると複雑な心境になる事もある。それでもいざ何かあった時に世の人が望むのがその『日常』で、それを更新し続けられることは見方を変えれば幸せな事なのかも知れない。



と言いつつ、その日常が続けば求めるものも変わってくる。求めるというよりは自分に『課す』事に近いのかも知れない。



しがみついてやるぜ!

Posted by なんとかさん on   0  0

『ジロウ』がソファーの上部にしがみつく様に眠っている。いかにも心地よさそうなその寝顔を見ていると体勢が面白いのもあってか一層愛おしく思えてくる。


<そう言えば家の猫どもは変な所にしがみつくのが好きだよな>


今日はこんな具合に記憶が刺激されている。昨日なんて今や薄さが際立つテレビ上の縁に器用にしがみついていた猫もいた。『ナナ』である。常々彼女をサルに擬えて表現しているけれど、庭の木にしがみつくところから始まり、何故だかあぶなかっしい細い場所を好み、そこでしばらくうとうとしていると案の定ずり落ちてしまう事多々。今でこそ定位置であるカーテンに身を隠しているけれど、今朝はやはり水道の狭い縁に乗っかっていた。そこで何回も鳴いて水を要求するのである。


【しがみつく】。人間にとっては例えば社会的な文脈だと今のポジションにしがみつくだとか、何となく必死さのニュアンスが伝わってくるけれど、猫の場合は別にそこである必要がないのに必死にしがみついているという違いがある。もしも僕がわざわざ苦手な高所に登って柵か何かにしがみつく様な事をしていれば無用な『必死』という事になろう。『ナナ』がテレビにしがみつくのもそう言った趣がある。



考えてみれば猫は4本足の動物だから、しがみつくのも割と自然なのかも知れないしがみつくと安心感があるというのもあるのだろうか。眠る時に何かにしがみついた体勢の方が安眠できる人もあると聞く。何を隠そう僕もその傾向があり、数年前抱きつき用にスヌーピーの巨大なぬいぐるみを購入したけれど、実際はそんなに使用していない。



「むしろ…」


僕はそこで気付くのである。『ジロウ』がこのしがみつき、もしくは抱きつき体勢になる際、何故だかその『ジロウ』事態にしがみつき、抱きつきたい欲求がむくむくと立ち上がる。色々考えているうちに『ジロウ』は移動してしまっているけれど、猫に抱きつきたい欲求というのは猫飼いなら自然だろう。スヌーピーのぬいぐるみよりもふわふわ長毛の『ジロウ』が直接布団の中に潜り込んでくれればそのまま衝動に任せて抱きついてしまう。



『離すもんか!!!』


そう意気込んで抱え込んだは良いが、段々とその体勢がきつくなってしまう事がある。何故かと言えば僕は寝相が良くないからである。寝返りを打たねば死んでしまう…とは絶対に言い過ぎだけれど、頻繁に寝返りを打っている僕に対して猫は同衾するのをいつの間にか遠慮するようになっている。



それもまたなんとやら。

この活動を

Posted by なんとかさん on   0  0

『ダケスタリスク』として演奏する事を意識した曲を作っているところ。まだ「ラララ」だけの1番ができたので一応リンクを張ってみる。

音源


『ダケスタリスク』のもう一人、Kくんがブログ


ばからしきすばらしき日々


にて続けている小説「どんびき!~曇天大学軽音楽部弾き語り部門~」がそろそろ完結という話を聞いている。作中の登場人物の発現とか、表現とかが音楽活動をしてゆく上ではヒントになっていた事も結構あって、実を言えばこの作品のテーマ曲として今回の曲を作っているという経緯なのだ。



こんな風になんとかうまい具合に『次にやる事』が見つかっては行くけれど、趣味とはいえ「頑張っている」と言っていいところには来ている気がする。この活動を大切にしたい。



結社とたらこ

Posted by なんとかさん on   0  0

秘密結社「たらこ三昧」の断片的な情報を辿っていると、どうやら『彼ら』がこの世界で果たしてきたらしい『役割』が浮かび上がってくる。それを一言で表現するならば、ずばり


【印象操作】


のようである。組織の歴史…と言っても俄かに語られ始めたのは2000年代半ばからなのだが、少なくとも分かっている範囲で言えば「たらこ三昧」の結成にはIT産業の発展が深く関係しているという話である。というのも組織自体が今でいうインターネットのダークウェブ上での秘密裏のやり取りから生じ、現在でも実質的な運営は表には出てこないように行われている。ではなぜ今、私の手元にある資料に組織の名前や概要と言ったものが取り扱われているかというと、一つには個人のハッカーが仲間内で噂話手的に語られていたこの組織に危険を冒しながらも接触を図ったからである。その時の経緯をインターネット上の巨大掲示板に控えめに書き残していたログによって「たらこ三昧」というでたらめにしか聞こえない組織の『暗躍』の姿を伺い知ることが出来る。





【たらこ三昧】は世界を『アバンギャルド』化しようとしている。我々が平常の感覚で良いと思っているものを独自の情報操作と印象操作で一旦疑わせ、彼が良しとする価値の体系を世の中に徐々に浸透させるという目的を有している






もっとも、当時この書き込みからその存在を信じた者は皆無と言ってよかった。むしろ、その書き込みは一種の伏線であって数年後時代が世界的な株価の暴落によって混乱していた頃に突如として奇抜なスタイルでメディアに登場しまもなく時代の寵児となったあるタレントが某日ラジオにて語った「たらこ」への偏愛である。その日執拗に繰り返された「たらこ」という語の登場回数は30分の番組でおよそ50回に渡った。奇妙な事にそれ以後このタレントがバラエティーなどに登場しても「たらこ」を好んでいるという発言はなされていない。彼の中で一時的に「たらこ」ブームが訪れてその後下火になったと解釈できるものの、奇妙な事例はこれだけではない。その数年後にもこれまた奇妙なスタイルで…特にジェンダーレスの装いで奇矯な物言いをする事で人気を獲得した女性モデルもとある地上波の番組にて「たらこ」への偏愛を語った。しかも、それが先ほどのタレントと同じように単発での表明であり、その後はそんな事実はないかのように振舞っている様子が現在でも伺える。



この辺りの奇妙な一致、『符合』によって一部ではこの先述の【たらこ三昧】の書き込みと彼らを関係づけられ始めたらしい。かく言う私も当時これをネタ、都市伝説的なものとして受け取っていて、<なるほど、そういう事があったら面白いかもな>と感じていた人間の一人である。実際にはこの頃既に【たらこ三昧】の活動は第二フェーズに移っていたらしい。と言うのも彼らの計画では例のハッカーが接触してきた時から敢えて『都市伝説化』させる事で別な形で影響力を持たせようとする戦略があり、ハッカーが何らかの方法で彼らの存在を公表する事さえも方法の一つに数えられていたからである。




ある程度の冷却期間を置くことで都市伝説は都市伝説として熟成する。時代を経てソースが参照されることによって意味深な行動が意味づけられ、そういうものへの関心とそのような解釈をする傾向性ある人々によって語られたことにより、一つは嫌悪と一つは『別な何か』を人々に呼び覚ます。



『別な何か』とは一つの信仰のようなものである。即ち【たらこ三昧】というものを半信半疑ながらも意識して、「仮にそういう組織があるとすれば」という思考の形式で己の行動を決定してゆくという方法が採られるのである。彼らは暗に既に【たらこ三昧】は影響力を持っていると判断している。こうなると例えばメディアに露出するための手段として、【たらこ三昧】に接触する事が得策になると考え、彼らに媚を売るように「たらこ」と奇抜なスタイルを取り入れて活動を行う。ここで組織が戦略的に上手かったのは既に芸能界で地位を獲得しつつあった上記の二人の人物に、それらのうちの幾人かと実際に接触させた事である。今でいうフォロワー的な発想で、有名人によって取り上げられた自分の信奉者という形で実際にもその追従者がメディアに登場し始める。




こうなると集団として奇抜なスタイルというのが文化的な意味を持ち始める。この辺りが第三フェーズとされていて、実際に影響力を持っているか持っていないかを判断する情報がないままに【たらこ三昧】の存在が大きくなってくる。詳細は省くものの、こうして関心を持つ経営者の存在するある企業から秘密裏に捜査を依頼される事になっているというのが現在である。



「ふぅ…」



ここまでの内容をレポートにまとめ終わり、私はこの後の調査をどのように進めていこうか迷い始めている。仮に【たらこ三昧】の実態があるとして、彼らは秘密結社であるがゆえに簡単には尻尾を出さないという事が分かっている。おそらくは私もプロである以上、タレント『A氏』とモデル『S氏』を調査する必要がある。…或いはその二人と接触した事のある追従者の方をターゲットにするべきだろうか。そんなことを考えながら一旦家を出て私はある店で昼食を採ることにした。「たらこパスタ」の名店である。


<そう言えば「たらこパスタ」が流行りだしたのも時期が同じだよな>


果たしてこの発見は何かの役に立つのであろうか?




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




その同じ日、バンデンラ・ゴジジウの友人である『松永太郎』は自宅にてお手製の「たらこパスタ」を食していた。左手でフォークにパスタを絡ませながら、タブレットで怪しげなソフトを操作しながら呟く。


「たらこパスタは作るのが楽だからいいよな」


そのまま操作している画面上のメッセージ欄に『アバンギャルドで行こうぜ』と打ち込みタップをする太郎。どことなく既視感のある状況に彼自身満更でもないようである。

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