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郵便受けの愛

「コネチカット州の親戚の家に行ってくるよ」と告げたきり帰ってこない旦那。私は一人寂しく胡散臭いダイエット本を読みながら、右へ左へ腰を捻ったりしている。

旦那と言っても私が勝手に「旦那」と呼んでいるだけだが、居なくなってみると大分寂しい気がする。いつ帰ってくるのだろう?何故コネチカット州なのだろう?もっともらしい嘘をつけないにも程があると分かってはいるが、私は彼のそんなところを愛してしまった愚かな女だ。それでいて、呆気に取られつつ戸口で彼の背を見送りながらも、

「コネチカット州の具体的にどこ?」

と問い詰めてしまう私のドSっぷり、もとい嗜虐性の奔流は自分でも空恐ろしくなる事がある。旦那はもう帰って来ないだろう。何故って、振り向きざまに冷や汗をかきながらも、

「コ・・・コネチカット州のキ・・・キットカットだよね?」

と、答えに窮するどころではない答えを述べたからだ。普通ならここで許すか切れるかするところだが、私はこの迸る嗜虐性を抑えることが出来ない。

「キットカット街の何通りよ?」

「キットカットの、こらてらるだめーじ通りだよ」

私は心の中で「こいつ本当に相当ダメージ受けてんな」と思ったけれど、当然口にはしなかった。私は、もう少しで「旦那」を許してやれそうだと感じて、最後に言った。

「お土産はキットカットでいいから」
旦那は

「うん・・・」

とだけ答えた。


数日後ダイエット中の私にとっては目に毒なキットカットが数本だけ送られてきて、こんなご時世だけど少しだけ心が温かくなった。どこから送られてきたかはご想像にお任せする。
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きっと床屋さんからだろう

 こんにちは。
 キットカット本当に送ってくるところが何んとも人間ですな。ドライな様で、どこか徹しきれないお人好しなところに魅かれたんですかね。

Re: きっと床屋さんからだろう

こんにちは

このあと彼なりの「愛」だと思って、キットカットを食べたんだと思いますよ。「旦那ぁ」って言って近寄ってくる怪しい人に好かれそうなお人よしですね。
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Author:なんとかさん
ナンセンスな物語を書くつもりです。リンクフリーです。

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