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徒然ファンタジー17

「それにしてもこう言っちゃ失礼かも知れないけど田舎よね…」


「まあね」


「でも町並みは素敵だわ。レトロな趣があるというのか、なんだか懐かしい気持ちになれる。そんなに知らないんだけどね」


車は市の中心である商店街を走っている。道が狭くて所々停車している車を避けたりすることもあり、慣れないジェシカはややドキドキしている。赤々とした色はこの町の色合いからするとやや悪目立ちという感もないわけでもないが、人もそんなに歩いていないのであんまり気にする必要もない。


「まあそういうのを売りにするくらいの気構えがあったら、もうちょっと何とかなると思うんだけどね…あ、これ独り言だから」



「そういえばさ、京子ってどうしてこの町で店を開こうと思ったの?」


「大した理由はないわ。おばあちゃんよ」


「おばあちゃん?」


運転していて目はキリっとしているシェリーだけれど、「おばあちゃん」と口にした時に少しだけ表情が緩んだように見える。ジェシカはシェリーの方を向いて「はてな」を浮かべている。


「ああ、ジェシカにも分るように説明しないとね。そう、私のお母さんのお母さん…名前は洋子って言うんだけど、おばあちゃんがねここに住んでいるのよ」


「ここに?え…って事は京子のお母さんの実家って事だよね」


「そうよ。特におばあちゃん子だった私は、優しくて穏やかでいつもニコニコしているおばあちゃんに昔から可愛がられていて、「シェリー」っていう愛称で呼んでくれているの」



「あ、シェリーそう言ってたよ」



「ああ、そういえば前来たときそれ言ってたわね。わたし京子の友人やってたけど、そんな事一言もいわなかった」


シェリーは「ふっ」と笑った。


「おばあちゃんとの秘密だからね」


「秘密なのに言ってるじゃん!!」


この言いようにリリアンは少し憤慨気味だった。


「ジェシカは良いのよ。こっちも秘密を知っているし、おあいこだわ」


「私はいいの?」


リリアンは一応納得しかけたのだが気になったので質問した。


「そうね…じゃあ何かあなたの秘密を教えなさい」


「どんな秘密よ?」


「まあ、人に言えないような秘密かしら」


「私に秘密なんてないわ!!」


「そうかしら?でもジェシカは何か知ってるかも…主に生活態度とか」


「はぁ~?」


「と言ってる間に着いたわよ。ここよ」



車は商店街から少し外れた場所のこじんまりした店の前でスピードを落とした。外装は白く上の方に『SHELLY』という文字が赤く象ってある。



「ねえ、一つ訊いていいかしら」


「なに?」


「このアルファベットって「シェリー」って読むわよね」


「そうね」


「明らかにこれ、店の名前にしてるよね」


「否定しないわ」


「どこが秘密よ!!!」


そういっているうちに、車は店の横の敷地に駐車した。エンジンを停止させてシェリーは再びニヤリと笑った。


「誰も私の名前だとは思ってないわ」


「う…」


ジェシカは二人のやり取りを聞いていて、なんだかとても安心するのであった。
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