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徒然ファンタジー31

書店帰りにスーパーで食料を購入する事にしたリリアン。ついでに立ち寄ろうと思うのは普通の事だしそれ自体は順調に済んだ。最近では自分の食べる物に対して気になりはじめたのかジェシカもところどころで自分の食指が動いたものをリリアンに報告する。特に人間の身体になった時に味わう匂いの漂う甘味や、いかにもという感じの惣菜については本当に涎を垂らしそうになっている。


「あ、あれ美味しそう…」


「ジェシカ…あなたの見た目で物欲しそうにされると微妙に困るのよ…」


「あ、こっちのも美味しそう」


「…」


結局この買い物でメンチカツとチョコレートをねだられ、リリアン自身<甘いな>と思いつつも買ってしまう。子供連れの主婦の感覚が分るような気がするのだが、こういう事に託けて自分も食べるのはそんなに悪くないのかも知れないと思うリリアン。


「でもこういう食生活だと太るのよね…」


マイバックに袋詰めしながら呟く。


「どうしたの?」


「ジェシカは…太らないわよね」


「え、太らないよ」


「猫に戻った時に体重めっちゃ軽くなるし」



とはいえデブデブに太った猫も居ないわけではない。家猫なら運動不足と餌のやり過ぎで太る猫もいる。その点ジェシカは基本的に俊敏でよく動くので太る事はなさそうである。一方学生時代運動部に所属していたリリアンはその時と比べるとちょっと油断しただけで体重が増えるという事に気付いた時から、食事は野菜中心にと言い聞かせていたりする。必ずしも守られていないのが現状である。




こんな事をうだうだ愚痴り気味に歩いて帰っていると家に着くころには早くも昼時になっていた。すると少し遠目からアパートの前で待機している人がいる事に気付いた。<どこかで見覚えのあるシルエットだなぁ>とぼんやり思っているうちにその人がこちらに振り向いて、大きく手を振りはじめた。


「ねえ、あれ誰かな?」


荷物を持たされていたジェシカは家が見えると少し急いでリリアンの前を歩いていたので振り返って訊ねる。


「なんか、呼んでるみたい…って、あれ!?」


リリアンは途中から声を荒げてその人物を確認していた。


「お母さんじゃない!!!」


「え…?お母さん?」


そういう間にもジェシカは「お母さん」の前までやって来ていた。リリアンより少し背の低い、街でも良く見かけるごく普通の女性がリリアンの母であるという事がこれまでリリアンから聞いてきた情報によって結び付いた時、ジェシカは思わず言っていた。


「こんにちは、俺ジェシカです」


「は、はい。こんにちは…」


リリアンの母は見知らぬ男の子に自己紹介されて戸惑っていた。この時リリアンは<これはもしかしてマズイ展開なのでは?>と思い始めていたが、まだ突然の事に混乱していて。


「あ、お母さん。ただいま」


「リリアン、おかえりなさい…」


とごくごく普通のやり取りをしてしまっていた。
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