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ぷりいずぷりいずへるぷみい

プリーズプリーズヘルプミー。


不意に「HELP!」が流れてきたラジヲ。今宵の宴は此れで行こうと決めたものの悉く半端者ゆえ暫し躊躇いが生じる。年の瀬に年を忘れる為の宴の余興として立案したるは万人の知るところとなりて久しいビイトルズのヘルプという謡曲を手持ちのギタアを奏でつつ吟じるといふ事。学生時代から久しく其れに触れてこなかつたのだが、物置より引張り出して試しに鳴らしてみる。


「じゃあん」という快い音が部屋に響いたと思いきや、すぐさま調律が為されていない不協和音に変ずる。


「こりゃあいかんな。大分眠ってたからなぁ」


などと独りごちつつ調律を始める。だがどうも上手く行かない。「そうだ、音叉が無いのだ」と即座に気付いたものの、生憎この部屋に越してきた時にどこかに仕舞ったままになっているのだと分つた。探すにしても、余り時間が無い。手取り早く音階が分る装置などがあればそれで足りる。


「正確なんだろうけど、なんか不安だなぁ」


結局文明の利器、スマートフォンを用いる事にした。或るアプリをインストールし指示通り調律してゆく。しばらくして音色の美しいギタアとなつた事を確認し、遠い記憶を蘇らせるようにコードを押さえる。


「あ~いいなぁこの感じ」


ビイトルズは矢張り素晴らしいのである。恐らくこれは真理だ。この時勢に於いては単純な進行となったコードも寧ろ無駄が無いように思える。


「『プリーズプリーズヘルプミー』か…」


英語の歌詞をスマートフォンで確かめつつ歌いだしたところ、それなりに歌えそうだと分かつた。この画面を見ながらであれば十分歌える。練習をしている間に時が過ぎ出立する刻限となつた。



☆☆☆☆



宴もたけなわとなりたる頃に我が出番となった。


「じゃあ行きます、ビートルズの「HELP!」を演ります!」


会場に鳴り渡る拍手の中で演奏を始める。前奏から既に手拍子が起こつてゐる。


「HELP! I NEED SOMBODY~♪」


出だしは好調にて「ひゅう」という指笛も響く。心地頗る良く、意気揚々と歌い続ける。しかしあれほど確り行つた『調律』に問題ありし事が判明する。然し其れはギタアではない。我が声だ。


「ウォンチュー プリー↑ズブ(濁声)リーズ ヘルプミ↓ー」


突如裏返る声に聞き苦しい声が続く。更に肺活量の衰えと息切れに寄りて次第に歌聞き苦しくなりつ。始めは喝采だつた場に小さき笑い声が混ざる。是、赤面の至りなり。


「ウォンチュー プリー…。ヘルプミー…」


恥ずかしさの余り最後は誤魔化す事にした。正に「プリーズプリーズヘルプミー」なり。
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