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でたらめフレーム


「実はいい事を思い付いたんだ」

というデタラメを少し余所余所しくなった友人達にばら撒いていたら、急に前からやってきた自転車が警告の鈴を鳴らしたのを最後に聞いて僕は気を失った。気を失ったつもりだった、という方が正解だろうか。実は気を失っていなかった。僕は自転車なぞには全く、これっぽちも興味はなくて、むしろ自転車のフレームに使われる材料が何かの方が気になるくらい材料フェチで、とりわけチタンに惚れ込んでしまうのはきっと前世からの因果があるに違いないとさえ思えるほどチタン狂信者なのだが、どうしてくれよう、その自転車はアルミだった。なぜあれほど、自転車屋さんのおじさんと、近所の親切なおじさんと、いやもしかすると世界の7分の2くらいのおじさんは丈夫なものが良いと言っているのに、アルミなのだろうか?

そういう事を考えて気絶した、心の中で気絶したのである。

僕も数年来、若者言葉には参って、滅入っているけれど、それでもこの時の滅入り方ほどではない。手軽さが好まれる時代、恋愛も小説もゲームも、合せて恋愛ノベルゲームも手軽なものが多く、ヒトは時間も奪われないが何らかの強度も手にする事がない。だからあれほどハードにしておけって言ったのに、ハードモードでやることは楽しくないのでやりたくないそうだ。友人曰く。でも僕は、特に僕の僕らしいところといえばそうなるが、ハードなものほど挑戦したくなるような性格で、そういうところさえも天邪鬼とか貶められるけれども、でも僕はハードこそ「かたく」する方法なのだと、少数の人に向けて言いたい。何故少数に向けてなのかというと、みんなハードに挑戦するとそれはそれで疲れそうだからである。疲れは当然ある。だから立ち直れなくなるくらいまで疲れさせては目的を見失ってしまう。「かたさ」を手に入れるなら、ハードを超えないハードさを見極める必要がある。


という観点からすると、やはりアルミ、リアルなアルミを見た時の衝撃は、僕にとってハードだったかも知れないが、気絶まではゆかなかったとするなら、それなりに強度が上がっているのか、ハードさが足りなかったからなのかも知れない。そりゃあそうだ。日常の中で、気絶するくらいハードなものは遠ざけられているに違いない。僕が見ることの出来るハードなものは、既に日常というフィルタリングされた情報の中でハードというだけで、本当に気絶してしまいそうな情報は、最初から目にする可能性から遠ざけられているのだ。


だから僕も強度が上がらない。だから僕はチタンに惹きつけられる。そういう心理学を展開して何が面白いのだろうと思う、もう一人の僕が居る。そして、色褪せないチタンが色褪せるような錯覚を覚える。でも、僕はそのチタンを信奉する僕を自分だと思うし、馬鹿馬鹿しく思いながらもやはり僕は、ついふとした瞬間は僕なのだ。

「実はいい事を思い付いたんだ」


僕はあいかわらずデタラメを言う。もしかしたら、何にもでてこなくても、僕はいいことを思い付いているのかも知れない。デタラメといういい事を。
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月並み

 こんにちは。
 アルミの強度は鉄並みですよ。月並みじゃありません。しかもアルミの自転車は凄いんですよ。実はアルミの自転車はは一円玉を溶かして作っているんです。その数四万枚!! つまり素材だけでそれだけの価値があるという事ですな。凄いでしょぅ。無論デタラメですがね。

Re: 月並み

こんにちは。

一瞬、目を通した瞬間に納得しそうに…はなってはいませんが、とにかくデタラメからでも新しい発想が出来るかも知れません。中身が無い場合もありますが、デタラメでも何かを始めれば、それなりに何かカタチに成っていたりするものです。


でも一円玉を溶かして作った自転車は何となく高価に思えてしまいますね。そしてアルミホイルで作った自転車には乗りたくないですね。
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