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憧れと空

心なしか空が青く見える。大した違いがないような気もするが、思わず目を留めてしまうような何かはそこにあるのかも知れない。日程通りにこなしているのに、なぜか変わらない日常と言うよりは小さな変化が日々積み重なってゆくように感じられるこの頃。フィルターなしのダイレクトな知らせが証明するように、日々色んな事が起こっていて、自分にとってはそうではなくても誰かにとっては大きな事が日々起こっているのだと想像し始めると、いずれ自分にも何かがあるんじゃないかなという風に思えてくる。


健全な思考なのかも知れない。前みたいに傍観者気取りでいられなくもなって、当事者として議論に巻き込まれ、ぼんやり眺めていてもどうすべきかを問われ続ける事が当たり前になってきている。


<自分にはそんなにはっきりした事が言えないよ>


と弁明するとしても、誰にそれを伝えたらいいのか分からない。この青い空に募る想いは多分そういう心を受け止めてくれそうだからだとは感じる。代わり映えもしない立場でもこの青に惹かれる今だけは少しだけ違う所にいるようにも感じられているのだろうか。



そんなときメールの短い着信音が響く。


『すまん今日はちょっと遅れる。店で待っててくれ』


今日は久しぶりの友人と飲みだ。ひたすら時間がないという事は皆共通しているかのように錯覚しそうなほど何かに追われている中で、その時間を楽しみにするのもきっと悪い事ではあるまい。同じ趣味の人々が集まる居心地の良い店に出向いて、後で『ちょっと飲み過ぎたかなぁ』と反省するかしないかくらいまで飲んでその時だけは自分も息巻いてみせて、それでバランスを取るように何かを取り戻している。



決して作業に追われる毎日が嫌なわけではない。相応に必要とされ、何かを学んで、ときどき感謝もされる。ただそれは今こうして気楽な歩みで昼間の街をうろついている自分とは違う人間のようにも思えてくる。




多分どっちが『本当』だという事ではない。時と場合と目的に応じて己を管理している薄っすらとした奴が結構しっかり働いてくれているような、そんな気さえする。そいつが時々今の自分を使ってバランスを取っているのだ。


<今日もしその話を「あいつ」に話したらどう思うだろうか>


一瞬浮かんだ面白い想像に思わずにやけそうになる。結構難しい言い回しも『乙なものだと』グイっと一飲み受け止めてくれる友人に人知れず感謝しつつ、また空を見上げる。



【むしろ最新のCGというものを見たから…】


ふっと浮かんだその言葉の続きを辿ろうとして「ああ」と実感した。実物と比べられる程になった最新の技術を褒めるべきなのか、それとも圧倒的な、もしかすると信じられないほどの澄んだ青を提供する『リアル』に感服するべきなのか。



こんな空がいつもあったら何にもいらないのかもな、なんて変なことを考えそうになった。そこでもバランスを取るようにショーウインドウに映り込んだ想像とは違う妙に気怠そうな表情を見て、


「こんなもんかな」



と呟く。たぶん、どこか憧れていた表情の何割かは疲労感で、別に作るつもりだったわけではない目の下の隈で、すっかりその表情に心が飲み込まれそうになっている、冴えない頭なんじゃないかと、ただ思った。




何にしても、それも悪くはない。きっと薄っすらとした奴が使い分けてくれるだろう。


それでも、この時感じたものは忘れたくないなと思った。
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