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けっかい

「結界」というものがある。ないのだがある。何を言っているか分からないと思うが、隣の席に座っているK君はいつも「僕は結界を張っている」と豪語する。
だけど私には見えない。見えないけどあるらしい。何の為の結界なのか、どういう結界なのか聞いてみたことがあるが、彼曰く

「君のようなごくごく平凡な女子には見えないかも知れないけれど、結界というものは到る所に存在する。それは僕のような繊細な心を持つ人々を守るために、言葉という暴力を無力化しているんだ」

だそうで、この時のどや顔が少しムカついたのと、「ごくごく平凡な」という形容詞に少しだけ反論したかった私は、

「じゃあね、例えば私が今、「はぁ?何言ってんの?馬鹿じゃない?」って言ったらどうなるの?」

「その部分が聞こえなくなるね」



それってただ耳に入れないようにしているだけじゃん、と思った私はその都合の良い結界をどうにかして無力化できないかと考え始め、ある日、閃いた。私はにやにやしながら言った。


「今日は「バカ」にいい天気だよね。うん、本当に「バカ」にいい天気。馬と鹿が降ってきそうな天気」

「…」


数学の時間、テストが返却されてきたとき。


「あら、K君「バカ」にいい点数ね。私なんか足元にも及ばないわ」

「…」

こういう事を繰り返していると、さすがにK君の表情が苦々しいものになってきた。休み時間。


「分かったよ、もう結界張るの辞めた。だからもうバカにするのやめろよ」

「いいよ。だけど」

「だけど?」

「ごくごく平凡な女子と呼んだことを謝ってもらおうか」

「え?そんな事言ったっけ?」

「忘れたとは言わせない。ごくごく平凡な女子に結界は破れないし、繊細な心を持つ私を守るためにこそ結界は張られてしかるべき」

「…すいません。だけどさ…」

「何?」

「結構、根に持つタイプなんだね」


「…結界が張られて聞こえませんでした」


「結界」というものがある。ないのだがある。
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結界をはったと言えば結界は出来る

 「僕は結界を張っている。」
 まともな人が聞けば、「コイツ何言ってんだ」となる。次からは近付くのも声をかけるのも躊躇するだろう。堤防一丁あがり。
 でも無神経な人にはそんなもの関係ない。結界なんて堤防は気にもしないでズケズケ入ってくるだろう。まあ、堤防ってやつは決壊する運命なのだ。

Re: 結界をはったと言えば結界は出来る

「結界」に関するアニメをちょっとだけ見たことがあるのですが、ほとんど魔法だったように思えます。結界というのは神聖な感じがありますが、目に見えない事もあって実質的には意識するかしないかだけになるということで、相手にいかに特別な感じを意識させるかが勝負になっていて、「言う」ことによっても強化されるという事なのでしょうね。


結界が決壊したっけかい?
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