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短絡的思考の見本

年代物のオーボエは、今日で六ヶ所目の欠損です。昨日微かな希望と供に届いた粘着液は、家主の手をすべり落ち、赤い絨毯の上にいびつな模様を描きました。これでは修繕が遅れるばかりです。
「ごめんく~ださい。」
来客のライオンさんです。ご自慢の牙を見せつけるように口を開きながら、「早いところ、貴公の腕前を披露して頂きたいものですね」と、さり気なく脅しをかけました。というのも、この築5年の住宅の家主は学生時代はそれで鳴らしたというオーボエをライオンさんに聞かせるという約束を2週前からしていたのです。


家主の額は、今や冷や汗と脂汗とでテカテカと輝いています。これが、断末魔の閃光でないのが残念でなりません。浜育ちが影響したわけではありませんが、この時はむしろ歯の詰物が取れそうでした。


家主の一人娘である、その名も『一人娘』は、父を哀れんで、彼にピッケルを手渡しながらこう言いました。

「お父さん。餌になる前に、人としての尊厳を失わない為にも脳天を、」
「うるせぇ、潔癖症!」

以来娘は、一度も湯船に浸かろうとしません。シャワーで済ませてしまうのです。
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ライオンは何処へ行った

 さて、それ以来とあるからには家主はライオンの牙を逃れたという事ですが、それではライオンは何処へ・・・。
 やっぱりアレ?脳天をかち割られて赤い絨毯の代役?
 筋から言えば、家主が自らの頭をなぐらにゃいかんと思うわけですが、やっぱり我が身は可愛いいよね。

Re: ライオンは何処へ行った

こんにちは。

ピッケルでライオンさんと戦ったという可能性も否定できませんが、家主はなんだかんだ言って存命していると思いますよ。案外しぶとそうな人だから、結構ズルい方法で難を逃れたような気がします。

ファンタジーですねぇ~
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Author:なんとかさん
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