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けんりのねこ

「ふとボクは思いました」

マロ(雄猫2歳)は唐突に私に話し始めた。
この猫が話す猫だという事は前回で了解して
頂いたとして、ここはさらっとその内容に
耳を澄ましてみる事にする。


「ご主人。ボクは猫の権利つまり『猫権』なる
ものを提唱したいのです」 

私は口をぽかーんと開けたまま数秒間絶句した。
この猫と話しているとこういう展開になる事は
多いので、まあ毎度の事といえば毎度の事だが
それでも流石にこれには絶句せざるをえない。


「今何だそれって思ったでしょ?駄目だな~ご主人
。誰だって言葉があれば成文化したいと思うでしょうに」


まあそれもそうだと思った私は一応どんなものか尋ねる
事にした。


「それで、どんな権利?」


マロは得意そうに鼻を鳴らし、『おっほん』と必要の
ない咳払いをして、滔々と語り始めた。

「まず第一に、生存権は欠かせないですが、飼主から
撫でてもらう愛撫権、猫的に飽きない毎日を過ごす
猫的文化享楽権を要求します」


「ちなみに誰に?」


「全人類です!!」


私は半分呆れかえって、これ以降の話は話半分で聞くことにして
目は既にネットの可愛い猫画像に向けてしまう事にした。ああ、
白い猫は可愛い。


「ご主人!!ボクの意見を真面目に聞いてください。聞かないのは
人類の奢りと見なし、鉄拳…もといネコパンチで制裁させて頂きます」


「一つ質問良い?」


「何でしょう?」


「例えばさ、猫だけが動物じゃないわけじゃない。中には猫も
捕食している鼠とかには、鼠権とか生じないわけ?」


「ち、ち、ち…。甘いですよご主人」


そう、前足を微妙に自分の顔の前で揺らして指を立てているように
動かしながら、わりと得意顔で私を挑発するような素振りである。
なんというか、こういう仕草は可愛い。


「いいですか。猫が鼠を喰らうなどという事はこの時代では時代錯誤
もはなはだしいのです。猫は、魚の方が好きだったり、場合によっては
鶏肉のようなものの方が好きだったりするのです。大体、ボクが喋れる
から猫権は有効なのであって、意思疎通も出来やしないそこらへんの
ネズ公なんぞには権利は与える必要などないのです」


なんだか、猫なのに、或いは猫だからか、傲慢さが見え隠れする。多分
この猫も二歳くらいだから、まだ図に乗ってしまうところがあるんだろう
なと推察される。


「そりゃあ鼠が可哀想だ。ネズ公なんて言い方は良くないぞ。ちなみに
俺はハムスターとかも好きだからね」


「ゲッ!!!にゃ」


「にゃ」が出るタイミングがよく分からない。


「そうだったのですか…そんな…なんで…」


私はそれはそれとして一つ気になる事があったので訊ねてみた。


「鼠は食べないけど、やっぱり嫌いなの?」


「嫌いじゃなくて、なんか負けると悔しいです…」


猫と鼠の関係の一端を垣間見たような気がした。
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