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かちろん

世にも珍しい展示会。世界中から集められた法螺が、2階と3階を埋め尽くしている。チケットは売れなかったが、訪れた人々はその想像を絶する光景に心の中で絶句しながら、

「いやぁ、何とも言えない。これは素晴らしいですね」

と主催者に告げた。社交辞令で。だが、

「え?単なるデモンストレーションですよ。会場の広さを認知させるための」

とはにかんだ笑顔でそれに答える主催者に人々は凍りついていた。そんな中、自他ともに認める法螺マニアの友人が

「またまたぁ、こんなに素晴らしく『無価値』な法螺を悪趣味に集めるなんて容易には出来ませんよ。狙ったでしょ?」

と不躾だが、真剣に言ったので主催者は少しカチンときてしまったのだろう、

「はい?『無価値』などではありませんよ。それこそ世界中から態々取り寄せたんですから」

と言ってしまったのが取り返しのつかない事になるとは思っていなかった。友人、

「いや仮に世界中から集めたとしても、『無価値』な事に代わりはありませんよ。それこそ、集めるのに『無駄』に金をかけただけで」

金をかけただけというのは図星だったのだろう、主催者は顔を真っ赤にして反論しようとしたが言葉が出てこないようだった。



という話を聞いているうちに私は、主催者を憐れんでいたのだが、何を思ったか主催者は「世にも悪趣味な展示会」と銘打って、余っていたチケットを大量に売りさばいてしまったそうである。
発想の逆転とは言うけれど、価値というのはよく分からない。ちなみに法螺の価値がそもそもよく分からない私にとってはこの話を理解するのに三回くらい苦労した。
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法螺は吹くもの

 ぶぉぉぉぉぉおおおおお!!
 ふむ。これは素晴らしい。どう素晴らしいかは人次第。でも、どーでもいい人からしてみればゴミ。ゴミ集めご苦労様です。とマニアに言ったら怒鳴られるだろう。うん、黙っているのが一番。

Re: 法螺は吹くもの

こんにちは。

価値の話は本当に難しくて、本格的に色々な人の価値観がぶつかり合って展開してゆく話を書いてみたいなとは思いましたが、そもそも自分にとって謎のものを大切にしている人の気持ちになることはとても難しく、どうしても他人事のような話にしかならないのですが、この作品も自分にとってはどこか消化不良という感じがしてしまいます。

でも、作品の価値も物語の内容と一緒と考えると、結構深遠な事を言っているのではないかと思っていたりいなかったり。
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Author:なんとかさん
ナンセンスな物語を書くつもりです。リンクフリーです。

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