FC2ブログ

グローバルマン

ご当地ヒーローというものができて久しい。今やどんな地域にも一人くらいはヒーローがいて、何らかの意味で悪い連中が毎度懲りもせず悪い事をしているところに颯爽と現れては、結局悪い連中が同じ具合に退治されている。

この地域のヒーローの場合は、ヒーロー「グローバルマン」の方も悪い連中「袖の下軍団」の方も支援する団体の予算が結構出ているらしく、ヒーローは出てくるたびにパワーアップし、悪い連中の方からは結構凝ったデザインの怪獣が代わる代わる出現する。


10月に公開されたプロモーションビデオでは意外な展開に視聴者からの反響が相次いだ。今回出てきた怪獣は相手の能力を何でもコピーしてしまう「怪獣コピー」という安直な名前だが戦闘中はかなりの強さを誇っていた。


怪獣の先制攻撃。ヒーローが持っている「光線銃」の能力をコピーして胸の辺りから光線を放ってヒーローを驚かす。

「何だお前は!?一体何をした?」

「ふふふ…グローバルマン。お前の攻撃は幾らでも予算があるから全てわたしがコピーしてしまえるぞ!!」

ちょこっとだけメタな発言をするのはご愛嬌である。

「人の能力をコピーするなんて、著作権的に卑怯だぞ!!」

こちらも負けじと子供向けではない発言を織り交ぜて激怒する。

「グローバルマン。良いんだよ。何でもコピーしてしまえば楽に勝てるんだよ!!」

「ゆ゛る゛せ゛ん゛!!グローバルな世界にあって、そんな卑怯な発想する奴はこの俺が成敗してくれるわ!!」

と言っているグローバルマンの方の発言も微妙に何かのオマージュのような気がするがそこはヒーローだから許されるのだろう。とにかくグローバルマンはここで彼の特殊能力の『スーパー変身』で、超絶なパワーを発揮するフォルムにチェンジする。


「喰らえ、スーパーサーベル!!」

と言って、アメリカの有名な宇宙戦争映画に出てくるような光る剣で怪獣コピーに切りかかるヒーロー。

「無駄無駄!!」

しかし、防御能力が高い怪獣には通用しない。それどころか、この能力までコピーしてしまう。どこからかサーベルを取り出して、グローバルマンに切りかかる。


「喰らえ、スーパーサーベル!!」


「うわー!!!」

一気にピンチに陥ってしまったグローバルマン。「これはもう勝ち目が無い」と視聴者は思ったに違いない。けれどここからの展開が秀逸だった。怪獣コピーは不敵に嗤ったあと、グローバルマンに迫って言う。


「よし。お前のすべてをコピーしてやる!!」


「なにぃ!!」


「いくぞ、コピーフラッシュ!!」


画面が点滅する。そして「うわー」というグローバルマンの悲鳴が聞こえる。次の瞬間画面に現れたのは、明らかにパワーアップした怪獣コピーだった。誰もが勝利を諦めた時、怪獣コピーが徐に意外な事を喋り出す。


「グローバルマン…。お前はなんて偉いやつなんだ…」


「何を言っている?」


「お前の能力をコピーしている間に俺は気付いてしまったんだ。お前の能力は正義の為に存在するのだと…」


「!!!!」


そこでその一部始終を見ていた、袖の下軍団の団員が叫んだ。


「馬鹿な。能力しかコピーできない筈なのに…」


それに答えるコピー。


「ふ…コピーじゃないさ。正義の心は自らに芽生えるものなんだ!!」


「コピー!!」


グローバルマンが叫んだ。怪獣コピーは袖の下軍団に突撃してゆく。


「みんな、こいつを解体してしまえ!!」



袖の下軍団は集団でコピーを攻撃する。



という感じで、軍団を退治した怪獣コピーは最後軍団長の不意打ちに遭って倒れてしまう。グローバルマンは駆け寄って、コピーにこう言う。


「コピー…お前はもう怪獣なんかじゃない。立派なヒーローだ!!」

「グローバルマン。お前は一人じゃない。頑張るんだ…。ぐふ…」



怪獣コピーは、視聴者からヒーローコピーと呼ばれ今や局所的な大人気となっている。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

なんとかさん

Author:なんとかさん
ナンセンスな物語を書くつもりです。リンクフリーです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
普通のカウンター
投票
無料アクセス解析
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR