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熱さまし

おでこに張ったシートが既に熱を帯びている。今日はこのまま寝ていることになりそう。頭がボーっとしているのに、意味もなくしゃしゃり出るイメージたち。


兎を追いまわしていたと思ったら、いつの間にか月にやって来ていて、

「ほらお餅だよ」

とつきたてのお餅をご馳走してもらったけれど、それが毒入りでお腹を壊して、今も熱にうなされている…ような気がする。


三か月前に大海原へ漕ぎ出した船の先端に立ってタイタニックよろしくポーズを取っていたら、そのまま海に投げ出されて、昨日やっとの思いで陸に上がったら、何の記念かよく分からないパレードに鉢合わせ。強制的に参加させられて、リズミカルに踊っていたのはいいが、お蔭で身体の節々が痛い…のだと思われた。


駄目だ、頭が混乱してきて何で昨日の記憶がないのかよく分からない。誰かに電話して訊いてみる事にしよう。誰に電話しよう…とりあえず「何かあったら電話してね」って言ってくれた先輩に電話してみよう。



「もしもし、あの昨日、俺餅食べましたっけ?」

「は?」

「いやだから、毒入り餅を食べて、パレードに参加したじゃないですか」

「何言ってんの?頭大丈夫?」

「大丈夫じゃありません。ボーっとしています」

「え?風邪か何か?ちょっと待ってて、今そっち向かうから」


30分くらいして、先輩がやって来た。

「うわー、凄い熱。」

「先輩…なんか俺、駄目みたいです。」

「何言ってんのよ、しっかりしなさい」

「いえ、もう海水浴も、ダンスもしたくないです。身体中が痛くなります」

「は?」

「あと先輩…」

「何?」

「実は俺…先輩の事」

「え…」

「ずっと前から」

「え、待って!」






「尊敬していました…」

「あ…はい。そうなの」


こんな具合に私はよく分からない話をしていたそうである。適切な看護もあって翌日ごく普通に出社した私に対して先輩の態度が少し冷たいと感じたのは、熱が引いた証拠だろうなと思った。
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脅威の体力

 熱に浮かされてうわごとを口走った割りに一日で治るとはけしからん。もう少し寝込んでナイチンゲール症候群を刺激しとけばよかったのに。そうすれば先輩も上機嫌。仕事も私生活もばっちぐーだったのにねぇ。え?好みじゃない?そこは我慢のしどころだろう。え?人間辞めてる?それはそれで結果おーらいじゃないか。

Re: 脅威の体力

こんにちは。

風邪を引くと本当に目が回ります。くらくらしてくるというのが正しいのでしょうけど。熱が出ると、もう呼吸も苦しくなって、何でこんな目にあわなければならないんだと苛立ってきますが、治ったら治ったでなんであんなに弱気になっていたんだろうと思ったりもします。

この主人公は看病してもらえたので良かったんじゃないかと思います。
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