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ねこせらぴー

マロは猫である。そんな当たり前な大前提を深く考察するわけではないが、その猫に対して愚痴を聞いてもらう事がある私はその事をどう捉えたらいいのか分からなくなる事がある。


「なあマロ」


「なんですかご主人」


マロはいつもの様に返事をした。昼時だからか少し眠そうである。それを聞いて一瞬だけどうしようか迷ったが、ままよと思い続ける。


「俺の事どう思う?」


マロはその言葉を聞いてクワッと目を見開いて、口を開けて私を見つめている。


「どうした?」


「「どうした?」じゃないですよ。ご主人、それはどういう質問なんですか?」


「え…?そのままの意味だけど…」


そう言うとマロは「ふん~」と息を吐き出したと思ったら、大きく呼吸をした。その勢いでマロまくしたてる。


「ご主人の質問は唐突過ぎると思っていましたが、自覚は無いようですね。いいですか、ご主人の事と言ってもいろいろあるでしょ。ボクのご主人としてなのか、一人の成人男性としてなのか、まさかだとは思いますが恋愛対象としてなのか…」


「最後のはあり得ないだろ!!」


変な事を言われたので私は慌ててしまった。念のため確認しておくがマロはオスである。まあマロなりの冗談だとは思うけれど真面目に言われるので慌ててしまう。冷静に息を整えて、


「まあ、普通の成人男性としての評価かな…俺って大丈夫かな?」


「何が大丈夫なんですか?」


「いや、世間的に、大人として…上手くやれているだろうかとか」


そう言うとマロは厳しい口調で、


「知りません」


とはね付けた。


「おいおい、そりゃないだろう。確かに唐突だったかも知れないけど…」


「そうじゃありません。ボクは何といったものか分らないという事です」


「どういう事だ?」


私はわけが分らなくなって訊いてしまったが、我ながら惚けた事を言っている。するとマロは大きく息を吐いて、わざとらしく「にゃ~」と鳴いた。


「面倒くさいですね…簡単に言いますけど要するに猫であるボクはボクから見て良いと思う事をしているかどうかしか答えられないのですよ」


「つまり?」


「他の人がどう思うかなんてボクにも分かりませんよ。ボクにとっては人間がしていることの全てが良いとは思えるわけではないし…っていつも言ってますよね」


「ああ、確かに言ってたな。猫の権利がどうこう…」


「それにも関係あるのですが、猫を中心にして考えた場合、例えば外に出れば自動車というものは怖いですし、自分で餌を探すのも大変ですしね…」


マロの言いたいことは大体わかった。人間にしてみたら必要で当たり前の事でも猫にとってみれば障害になってしまう例である。そういう猫の視点から評価すれば、他の人がみるのとは違った風に私を見ている事になるのかも知れない。


「難しいな…」


「難しい事は色々ありますが、ご主人」


「何だ?」


「少なくともボクを大切にしてくれているご主人は好きですから安心してください」


「…」


愚痴を聞いてもらおうと思っていたことが馬鹿馬鹿しくなるくらい、単純な答えだった。これで良いと思いたかっただけなんだなと私は気付いた。
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餌の切れ目が縁の切れ目

餌をくれる間は好きです。でもくれなくなったにその限りではありません。飼い猫と飼い主の関係ってこういうものではなかろうか。それ以上を望むのは酷と言うものだ。だって相手は猫だもの。

Re: 餌の切れ目が縁の切れ目

3匹と暮らしていますが、餌以外にも結構求めてきます。なんだかんだで同じ家で暮らしていると猫なりに仲間だと思ってもらっているみたいです。それで十分なのかも知れませんね。
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Author:なんとかさん
ナンセンスな物語を書くつもりです。リンクフリーです。

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