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じょうけんはんしゃ

タンパク質の摂り過ぎだけど、今のところ健康上何の問題も生じていない私は、ある日この何の特徴もない生活を撹拌しようと一旦人生というものを反省し整理してみることにした。その結果私の人生は怖ろしいほど単純化された。

『寝る為に食べる』


この結論に思い至った時、私の心の中に一抹の不安が訪れ、それを紛らわそうと即興で演奏を試みた。リコーダーでぴーひゃらら。何故ここにリコーダーなどが置いてあるかという疑問はさておき、私はこの時、自らの即興性の高さに酔い痴れていた。メロディーが不安定だったのは一瞬で、ほんのわずかな時間でリコーダーは速やかにチャルメラを奏で始めていたのである。


「その時、運が悪いというか間が悪いというか、君が訪ねてきたのだ」

「一応分かった。要するに君は、寝ることと食う事に重きを置いている自分に不安を覚えたわけだ」

「だいたいそんなところです」

「ちなみに、今日僕が来るって事知らせてたよね?アポイントメント取れてたよね?」

「アポとれてました」

「だのに君は、だらしない格好で、あまつさえリコーダーを咥えた状態で僕を迎えたというわけだよね」

「その通りでございます。なんの弁解もする余地がありません」


私の古くからの知り合いは、あまり見つめて欲しくない視線で敷きっぱなしの布団を凝視している。私は彼の注意を逸らせようと、リコーダーの即興演奏を続けた。しばらく黙って聴いていた彼は


「そういえば、昔からそれだけ練習していたよね君。具体的にいうと小学校の休み時間とか」

と懐かしいことを言った。


「そうだっけ?」

「そうそう。たしか、自分に都合が悪くなるとその曲の練習をし出すんだよ、君」

「いや、そんなことは無くはないのかも知れないけれど、決して意識的にそうしているわけではないような気がするんだけど」


明らかにあたふたしている私の様子に苛立ったのか彼は突然、


「謝れ!!」


と怒鳴った。


「す、すいません!!!」

一拍を置いて彼は訊ねた。


「ところで、今何について謝った?というか何について『謝れ!!』って言ったか分かってる?」

「え…だらしない格好で迎えたこととか…?」

「違う」

「じゃ何?」

「君の動揺を隠す為に一々用いられるチャルメラという楽曲に対して謝罪せよと言っているのだ」


彼が告白したところによると、チャルメラを聴くと一々何かを誤魔化している私が思い浮かぶんだそうで、

「へぇ、条件反射なんだぁ…」

と他人事のように言ったら、

「お前もだろ」

とつっこまれた。
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ラーメンじゃダメ?

 思い出すの、明星なんですけどー。
 お腹すきませんか?ラーメン作ってください。あ、鍋は洗ってね。勿論どんぶりとお箸も。そのままは絶対嫌ですよ。具は卵とキャベツで結構です。チャーシューなんて期待しちゃダメですよね、インスタントですもの。
 ところで、日清のチキンラーメンの卵、広告の写真みたいには絶対固まりませんよね。

Re: ラーメンじゃダメ?

こんにちは。

チキンラーメンは最初はすごく美味しいと思うのに、ぐちゃぐちゃになってしまったのを見ると食欲がなくなって、味に飽きてしまって食べなくなって久しいです。ラーメンならベタですがとんこつが好きで、インスタントも最近では美味しくなっているので嬉しい限り。

ああ、食べたくなってきましたぁ
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Author:なんとかさん
ナンセンスな物語を書くつもりです。リンクフリーです。

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