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吠える獣

冬だというのにアイスを食べている人を見て羨ましくなることはないだろうか。具体的に言うと台形のバニラアイスを餅で包んだ商品のCMを見た時とか。案の定、企業の思惑に逆らえずに、私は食べていた。その様子を何か劣ったものを見下すような目で見ていた兄。

私は吠えた。

「いいですか兄さん。これは私が流されやすいとかではなく、『敢えて』流された結果なのですよ!」

兄は「ほぅ」と言って続けた。

「なるほど。あれほど正月太りを気にしていたのにも関わらず、『敢えて』流されたと申すか。お主もいよいよ往生際が悪くなってきたな」

「じゃあお尋ねしますが、私の本能が瑣末な問題を忘れ去らせるほどに『これを食べるべきだ』と訴えかけてきたとき、それに逆らうのはむしろ不自然だとは思わないのですか?私は不自然だと思いますね。だって気付いた時にはコンビニに駆け出していたのですもの。誰がそれを止める事などできましょう?」

「誰が止めるかって言ったら、お前の理性だよ」

「いえ、私はそんな話が聞きたいのではありません。第一、私の理性ですらゴーサインを出してしまっていました。だからこれは正常な判断なのです。いいですか!正常に、私は『正月太り』などこの欲望の前には無力であると悟ったのですよ」

「だから、そこで欲望に負けるから太るんだっちゅうに…何故学習しない…」


数日後。私は再び吠えていた。


「どうして兄さん、あの時止めてくれなかったんですか?もう学校始まるっていうのに、身体がベスト体重に戻りません」

「お前、『敢えて』流されたとか言ってただろ。」

「言ってたけど、私は言ってません。あれは既に我を失っていた私なのです。獣が檻から解き放たれてしまっていたのです」

「ちゃんと飼い馴らさないお前が悪い」

「畜生…誰だ、誰を訴えればいいんだ!?企業か、企業なのか!!」

「そういうの、逆恨みっていうんだよ。往生際が悪い!さっさと学校行け。」


私は学習した。肝心な事は学習できないという事を学習した。何故なら私も一匹の獣だから。
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体重計を無視できるようになればこの世はバラ色

 まあまあ、体重なんて気にしない。一度悟ってしまえば何でそんな事に一喜一憂していたのか馬鹿らしくなりますよ。獣は自分の体重なんぞ気にしないもんだ。吹っ切ってしまうのが吉。でもズボンのボタンも吹っ飛んだりして・・・。
 いあ、やっぱり思い直せ。

Re: 体重計を無視できるようになればこの世はバラ色

こんにちは。

体重計は数値が気になったら少し食事を考え直すように利用すべきですね。ほんの少しの妥協が積み重なり、結果的に極端な変動にならないように…。

体重ネタは苦い記憶を呼び覚ましますが、鉄板ですね。
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Author:なんとかさん
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